第25話

 六月二十日、今日は父の日だ。そろそろ、荷物が届いている頃だろうか。私は午前中ずっと、ソワソワして過ごした。休みの日なので、課題を終わらせるために、教科書やノートと向き合うんだと思っていたのに、集中なんてできやしない。




 午後一時……もう届いているんじゃないかとソワソワが増してくる。こんなことに、何で狭い部屋を行ったり来たり、繰り返して落ち着かないのだろうか。




「はぁ……私はバカだなぁ」




 ぽつりと呟きながら、落ち着かない自分に笑えてくる。あの頃、考えたこともなかった、感情に、私は遅いよと心で謝る。




「嫌がるかな……いやそんなことはないよ、うん、ない……と思う……」




 頭の中で、お父さんの顔を思い浮かべては落ち着かない状態が続いてしまっていた。すると、スマートホンの着信が鳴った。




――――ピロロロロ




 お父さんからかもしれないと、私は画面の応答ボタンをすぐに押す。




「はい、もしもし」




 しかし、全然違う声が聞こえてくる。私の考えていたことと、全然違う声が。

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