心優しい異世界の少年、死んで日本人に転生する。~常識を知らない無自覚の少年、普通に高校生活を送っていただけなのに、いつの間にか周りの女子を虜にしていました~
第1話 心優しい異世界の少年、高校生になる
心優しい異世界の少年、死んで日本人に転生する。~常識を知らない無自覚の少年、普通に高校生活を送っていただけなのに、いつの間にか周りの女子を虜にしていました~
@watarai0991
第一章 入学編
第1話 心優しい異世界の少年、高校生になる
ある日僕は、モンスターに襲われ死んだ。
ダンジョンというモンスターの巣窟で、命を落とした。
僕には才能がなかった。
この世界で僕は最弱。死んで当然だ。
『あなたはこの世界には向いていません。魔法も、無駄な争いもない世界で生まれ変わりますか?』
死後の世界……冥界と言うのだったか。
冥界には女神がいて、僕にそう尋ねた。
最初は信じられなかった。
魔法がない世界なんて信じられなかったから。
だけど、もしそんな幸せな世界があるのなら――。
迷わず返事をした。
「僕はその世界で生まれ変わりたいです」
『わかりました。その願い、聞き届けましょう』
というわけでバブ~からのスタート。
だと思ったら違った。
なんと、僕は十五歳からのスタートだった。
元いた世界では十五歳は成人だったが、この日本という国では成人は二十歳と決まっている。
十五歳の時点では高校生という職業に半強制的にならなければいけない。
今は七月。
ちなみに、その当時の入学テストは、点数開示したけど満点だった。
この世界に来てから入学試験までの一カ月という期間で勉強をした。
自慢ではないが、前世は頭脳の方は決して芳しいわけではない。
言語は女神からもらった恩恵ですぐに理解することができたので、意外と簡単だった。
ジリジリジリッ――。
耳に響く金属音が、激しく部屋中に響き渡る。
音のする場所に手を伸ばし、カチッとボタンを押す。
すると耳障りだった音は止まった。
「心、朝よー」
下の階から、僕の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
だから僕も。
「はーい! 起きてるよ、母さん」
「今日は初めての高校でしょ? 余裕持って準備しなさいよ」
「うん。わかった」
眠い目を擦りながら階段を下りる。
美味しそうな朝食の匂いが僕を覚醒させる。
テーブルについて朝食を食べていると。
「ちょっとお母さん……! なんで起こしてくれなかったの⁉」
「起こしたわよ。それも何度も」
「起きるまで起こしてよ!」
「一回起きたって返事してたじゃない……」
朝から母親となにやら言い争いをしているのは、僕の妹――
茶色の髪に整った顔立ちの中学三年生。
僕と歳は一つしか離れていない。
まだこの世界に来たばかりなので、よく知らないが、決して悪い子というわけではなさそうだ。
しかし、怠け者ではある。
女神が言うに死んだ歳から下には転生することはできないらしい。
僕は十五歳の時に死んだ。
だから僕は生まれた時から十五歳……というか、それまでは僕が赤ちゃんの時に生まれた場合にとっていたであろう行動をとっているらしい。
「あ、お兄ちゃん! おはよう!」
「ああ、おはよう」
「体調は平気なの?」
「うん。もう普通に生活していても問題ないらしいよ」
「よかったー! もう急に倒れたりしないでね、焦るから」
「ごめんね。楓に心配させないように注意するよ」
このように楓はかなり喜怒哀楽が激しい妹。
そして僕は中学生の時に倒れて、今まで病院で入院していたらしい。
確かに僕は病院のベッドで目覚めた。
「心、そろそろ行かなきゃいけない時間じゃない?」
「そうだね……行ってくるよ、母さん。それに楓も」
「うん! 行ってらっしゃい! 私も早く準備して行かないと」
「行ってらっしゃい。あ、心。一ついい?」
「何、母さん?」
「お母さん仕事でしばらく留守にするけど……」
「わかった。家の家事は僕に任せて。父さんがいない分、僕が頑張るから」
北川家の家庭は父が交通事故で死んで今は母子家庭。
その分母親が身を粉にして働いてくれている。
だから母が少しでも楽になれるように、僕もできることをやらなければ。
前世の世界のせいで体力もかなり自信がある。
「本当に心には助けてもらってばかりね……」
「いいや、僕こそ母さんに助けられっぱなしだよ。お仕事頑張って」
「あんたも一度きりの高校生活、楽しみなさいよ……!」
「うん!」
僕は勢いよく玄関を飛び出して学校へ向かった。
家から徒歩二十分の距離にある橋姫中央高校、略して橋高。
シンプルなデザインの制服に身を包んだ僕は、職員室に行った。
「やあ心。おはよう」
「お、おはようございます。
相変わらずこの先生は元気だなー。
前に一度下見に来た時に面会しているが、かなり明るい性格の先生。
ショートヘアーの黒髪にスーツをピシッと着た先生。
確か数学の教師だった気がする。
「あと少しで朝のホームルームが始まるから、その時にクラスのみんなに自己紹介してもらうぞ」
「はい。わかりました」
「そんな緊張するなよ。私のクラスに荒れている生徒はいないから安心しろ」
先生の後ろについて教室に向かう。
その道中、かなりの生徒にジロジロ見られた。
主に女子……。
一体何なんだろう。
僕の見た目ってそんなに変かな?
少し不安になった。
「あ、そうだそうだ。心は気を付けろよ。……襲われないように」
「……はい?」
意味深な発言をして、先生は教室の扉を開けた。
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