惨禍の代償
(許して何も聞かないで)
焼菓子を割れど出せぬ話がある。魂は転生を経て、
ワイスは明かさない。忘れた全て。五つの頃には既に、絶えず尋ねねば姿も曖昧だったこと。記憶の鮮明は季節毎に損なわれ、祖父は不憫を哀れんだ。
愛しさとは裏腹に忘却が迫る。それは酷い裏切りだ。打つ手がなかった。ワイスは行き違いに怯え、想うたび恐怖は増した。その中で運命の日は来た。
破滅は遠退き、安堵を覚えた。輿入れは喪失に先行し、ワイスは報いを免れた。再会、今日まで二人生きたこと。今も残る愛。夢想じみた全てが僥倖。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます