(大きく好きと叫ばせて)
まっさらの丘に二人きり、ワイスは彼と手を繋ぐ。秘密の思い出をつくるのよ、ずっと先まで忘れないで。暗い中で顔を上げ、指でまっすぐ天を指す。
流れ星が見えたら二人で祈るの。不思議そうな目が返る。前に、子供がほしいって言ったでしょう、家族ができますようにって。ね、あなたも祈って。
真空の暗闇へ祈った後、二人はお喋りをした。千年続くお話をしてね。灯り無き夜の中を二人はゆっくり歩く。叶う日が待ち遠しいわとワイスは笑う。
夜明けの光がやってきて、ワイスは目を細める。丘が白く照らされて、彼は震えたようだった。手を引く前に、膝が折られ、ワイスは抱きしめられた。
肩が包まれる。長い腕が全身を覆う。彼の髪越しに見た日の出は鮮烈だった。夜明かしは極に達し、丘は輝いた。幼い身体は寒さも忘れて打ち震える。
耳を貸して。屈んだ首へと齧り付き、ワイスは冷たい耳をさする。よく聞いてね、と前置いた。あなたのことを愛しているわ。ずっと変わらず永遠に。
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