攻略・ヴィクトリア深部①



【跳躍のアイスクロースシューズ+3】


装備可能条件 LEVEL45以上 AGI75以上


※現在のステータスでは装備できません

※現在の職業では装備できません


DEF+35 MDEF+55 AGI+10


属性[跳躍][ステータス上昇]付与品。

ラロシアアイスのボス素材を元に造られた鎧。

美しいだけではなく強靭な素材で作られており、高い魔法防御力を誇る。

また装備すると足が軽く感じる特殊な効果がある。

またステータス上昇効果を持つ。


レアリティ:6


製作者:あんこたい焼き

製作者コメント:交渉おけ 相談8Mから


価格:10,000,000G




「ああ、十六夜ってもしかしてコレ装備してたのか」



今日は祝日。

色々家の事をやってからログイン。

何となく露店エリアにある装備を眺める。偶にゆっくりしても良いだろう。


『跳躍』スキル……ドクも持っているスキルだ。

見せてもらったが、溜める事によってその溜めに応じた跳躍力を得られるらしい。


最大まで溜めれば――あの時の十六夜の最後の攻撃のようなジャンプが出来る。



「……ドクは装備とかじゃなく素だけど。こういう所は戦闘職の差が出るな」



彼女曰く素手戦闘をしていたら勝手に手に入ったらしい。

恐らく一定量のAGIと足を使った戦闘の経験がいるんだろう。

羨ましい事この上ないな。



「で、俺は――」




【敏捷のスチールレザーシューズ+2】


装備可能条件 level40以上 DEX45以上


DEF+45 MDEF+35 AGI+20


属性[ステータス上昇]付与品。

鋼を元に造られた鎧。

鉄防具よりも格段に防御性能がアップした。

またステータス上昇効果を持つ。


レアリティ:4


製作者:生涯初心者装備

製作者コメント:投げ売り 買って♡


価格:1500000G




「……投げ売り……」



交渉とかもうそういう次元じゃなくなった。

さっきのモノとは何もかも違うが――仕方ない。


実際投げ売りと言ってるだけあって取引掲示板より50万程安い。


購入!



《 敏捷のスチールレザーシューズ+2を購入しました!》


《1500000Gを消費しました》



「……大分装備も揃ってきたな」



魂斧に、プレイヤーメイドの装備が二つ。

良い感じだ……着々と整う自分のそれを見ると嬉しくなってしまう。


貯金狂だったシルバーと出会う前の俺は、ほぼ装備なんて買わなかったからな。

実際良い装備を買って効率を上げた方が良いに決まってる。


……と、言う訳で。

今日は王都ヴィクトリアの深部まで行ってみるか。






《ペリリトン LEVEL49》



『ッカアー!!』



「うわぁ!?」

「やば――」

「コイツ動きはやすぎ、ぐあ……」



《ミニドラゴ LEVEL47》


『――ゴアア!!』


「HPゴリゴリやられる!!」

「コイツのブレス防げねえんだけど――あっ……」


《リザードマン LEVEL46》

《リザードマン LEVEL47》

《リザードマン LEVEL47》


「仲間呼ぶとか聞いてねえ!」

「きたね~ぞ!」

「後は任せた……」



水辺の近くに居る人型の魚人。槍を持って攻撃してくる。

そこは、深部といっても賑わいを見せていた。


草原のエリア。

森林のエリア。

水辺のエリア。


あちこち様々な風景が広がっており、それに属したモンスターが居る様だ。

現実世界じゃまずありえない類の風景だな。

十メートル歩けば地面が違うんだから。


「案外人が多い……」


深部に来ればと思ったが、よく考えたらさっきのウサギのエリアはそこまで人がいなかった。

そりゃこっちに居るはずだよな。

で、その理由といえば――



《ビッグアースタートル LEVEL53》



「――ボス湧いた!」

「ファーストアタックしろ!奪われるぞ」

「おらあ!」

「よっしゃ一番もらった――」



「……あ、消えた」



大きさで言えば氷雪の大鹿並の大きさのデカい亀が、突如森林エリアに沸いたと思ったら。

その後現れた大人数のパーティが攻撃し、その両方が消えていった。



「そりゃあのままここで戦われたらな」



フィールドボス的なモノなんだろう、まさかこんなところで湧くとは。

そしてあのプレイヤーの湧きっぷりを見ると――恐らくアレがここの人が多い理由なんだろう。

いつか戦いたい……なんて思ったがまずはあの『争奪戦』に勝たなければならない。



《ミニドラゴ LEVEL48》


『ゴアァ!!』



「はは、やるか?」



口から炎の様なモノをふつふつと出すその竜。


俺はソレに、魂斧を向けたのだった。





アレから早一時間程。


まとめると……



『ペリリトン』。


コイツは前の『アイスバード』の進化版って感じだ。

見た目はペリカンを凶悪にした見た目だから似ても似つかないが。


主なパターンは大きな単体の水弾。

そして地面への急降下突撃。



最初は苦戦したが、地面へ降りて来た所を攻撃すれば難なく終わった。

ちなみに苦戦の理由は突撃中のコイツの顔だ。威圧感が凄かったな……。



そして『ミニドラゴ』。


茶色い鱗に身を包んだ小さな竜だ。

そしてジャンルで言えば『地竜』?で、飛んだりせず地面での行動しかない。


攻撃は引っ掻きにタックル、そして強力なのが『炎ブレス』だ。


時間で言えば5秒間、2メートル程の炎をこちらへ吐いてくる。

勿論避けようとすれば避けた先へも。

コレは防御しようものなら状態異常『火傷』になるし、まともに食らえばそれに加え大ダメージ。


避けなければ一撃で劣勢になる――が、逆に防御しなければいいのだ。

落ち着いてブレスの準備行動を観察、そして見えたら距離を取りブレス中は近付かない……これを守れば大丈夫。



「ま、ペリリトンの三倍ぐらい時間掛かったけどな……」



嘆く。

見た目通りのその固さ、ブレス攻撃中は投擲しか出来ない攻撃効率の悪さ。無理すれば攻撃可能だがリスクが大きい。


経験値もペリリトンとほぼ一緒だし。

コイツに人気がないのも頷ける。あ、メリットはソレか。




そして最後……『リザードマン』。



結論から言えば瞬殺。

リザード(マン)と付いているだけあって――『魂斧』が効きすぎる。

コレまでの二匹がなんだったんだってぐらいダメージが出て、一瞬で片が付いた。


……見た目は蜥蜴が擬人化した、ファンタジーのお決まり種族。

槍による近接攻撃に仲間を呼ぶという特性はあるが……魂斧の場合呼ぶ前に終わってしまう。

試しにスチールアックスで闘ってみたが、確かに三匹まで呼ぶ習性がある。


効率だけで言えばコイツが優秀だろう、ぶっちぎりで。

だがまあ元々そこまで強くない為かなりほかのプレイヤーにも人気だ。

何より仲間を呼ぶ習性もあってパーティ『狩り』には持ってこいである、一匹残せば無限に呼んでくれるからな。




『ゴアッ……』





《レベルが上がりました》



「……ふう、やっと上がった――」



《投擲スキルのレベルが上がりました》


《片手斧スキル・投擲スキルが一定レベルに達した為、武技『アックスブーメラン』を取得しました》



「――えっ」



仕方なく人気の無いミニドラゴと遊んでいたら、そんなアナウンスが流れた。



「そういうのもあるのか……どれどれ」



スキルとスキルが合わさった武技。

そういえば黄金の意思も逆境と不屈だし似たようなものか。




≪スキル説明:片手斧≫


片手斧を扱った攻撃にダメージボーナスを与える。

レベルが上がる毎にボーナスは増え、またレベルに応じた武技を扱えるようになる。


≪現在扱える武技≫


スラッシュ:消費MP10 クールタイム3秒


片手斧で斬り付ける攻撃を行う。

攻撃力に依存したダメージを与える。


パワースウィング:消費MP20 クールタイム10秒


片手斧を力強く振り下ろす攻撃を行う。

隙は大きいが大ダメージを与えられる。


ラウンドカット:消費MP25 クールタイム20秒


片手斧を周囲へ振り回す攻撃を行う。

隙は大きいが広範囲の敵に同時にダメージを与えられる。


アックスブーメラン:消費MP20 クールタイム20秒


片手斧を投擲する攻撃を行う。

投擲後斧は投擲した手の元へ戻ってくるが、投擲威力によってはそのまま飛んでいってしまう事も。




「……おいおい大丈夫か?これ」



書いている限りじゃ、思いっきり投げれないし投擲中の隙が大きい。

まあモノは試し。



「よっ、『アックスブーメラン』……うおっ!!」



パワースロー同様、青いエフェクトと共に飛んでいく片手斧。


そして――いや当たり前なんだが――戻ってきた。



「……っ、中々慣れないな」



手に戻ってきたスチールアックスを受け取る。

まあでも、投擲の弾が減らないのは良いな。



「じゃあ今度は……『アックスブーメラン』――らあ!!」



投げるモーション、そして武技発動……その後、力いっぱい放ってみる。



「あ……」



説明文通り。

そのまま――俺の一万Gは彼方へ消えていった。

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