第12話 その貴公子、最強(ロゼリア視点)
世界の腐女子の皆様、こんばんは。天井裏から覗き……ゲフンゲフン。様子を伺っている
もちろんジークにい様が失敗するなんて思ってません。むしろ逆!ジークにい様の手腕を堪能するべく忍び込みました。フレなんとか殿下が使用人たちをたくさんクビにしたので王宮はほとんど人がいませんので楽勝です!
あ、わたしの作戦のせいでクビになった方たちですが、ちゃんと対処しているので心配いりませんよ。
では本日の生実況は、“深夜”・“王子の寝室”・“膝の上”の3本立てです!あらゆる想像を膨らませてお楽しみ下さい!
「あ、あああああああの、アルファン伯爵ぅ?」
やっと我に返ったのか、ジークにい様の膝の上で慌て出すフレなんとか殿下。ジークにい様はさすがとしかいいようがありません。相手に考える隙を与えずにここまでもってくる手捌きは完璧でした!
「どうなさいました?」
ジークにい様が優しい手つきでフレなんとか殿下の髪をそっと撫でると、フレなんとか殿下はビクッと体を震わせた。
「あ、あの、なぜ俺はこんな……」
「僕は殿下が悩んでおられたようなので、お慰めしたいのです。それとも僕のことを友だとおっしゃって下さったのは偽りでしたか?」
「そ、そんなことはない……!俺の本当の気持ちをわかってくれるのはアルファン伯爵だけだ!」
「……どうか、ジークハルトとお呼びください」
「……!じ、ジーク、ハルト……」
「フレデリック殿下、そんなに目を潤ませてどうなさいました?……ほら、こっちを向いて?」
………………。
むっはーーーーっ!!(鼻息)
おっと、失礼。あまりの素晴らしい光景に思わず息を止めていました。
ジークにい様ったら、わたしが覗いているのを絶対気付いているわね。だって角度が絶妙に見えそうで見えないギリギリをちらつかせてくるんですもの。
あぁっ!あの指先の動きったら最高です!ジークにい様に翻弄されるフレなんとか殿下の顔つきもなんとも……おっとヨダレが。(じゅるり)
「……ぁ……!」
あっ!ジークにい様が動いた!くっそぉ、声がよく聞こえない!
えっ、あらやだ……マジですか?!そ、そんな……すごっ……いいぞー!もっとやれーっ!
メモを!メモをしなければ!これは次の新刊いけますよーっ!
あぁ、でもジークにい様をモデルにするのは禁止だから別の設定(キャラ)を……えーっ!?それも?!そんなこともぉ?!!
さすがはジークにい様ですぅ――――!
はぁはぁはぁ、つい興奮してしまいましたわ。
だってすごかったんですもの。やっぱり
ジークにい様の焦らしテクニック……貴腐人のわたしですら鼻血ものでした。
あんなにすごかったのに最後まで致していませんし、もちろん唇すら奪っていないのに(際どかったけど)あのフレなんとか殿下がまるで別人のようにふにゃふにゃになったんですから――――!
さすがは腐薔薇の貴公子……!
わたしが先ほど見た素晴らしい光景を脳内リフレインしてうっとりとしていると、一瞬ジークにい様の視線がこちらを向きわたしとバチっと目が合ってしまった。
そして、フッと意味ありげな微笑みを浮かべる。
あ、はい。退散しろということですね。どうやら本日はここまでのようです。
「……フレデリック殿下、僕のマッサージはいかがでしたか?」
「ま、マッサージ……?」
「はい、どうやら殿下はお疲れのようでしたので身も心もほぐれるマッサージをしてみたのですが……お気に召しませんでしたか?」
不思議そうに首を傾げるジークにい様の様子に一気に顔を赤くするフレなんとか殿下。どうやら自分は勘違いしていたらしいと思ったらしくテンパり具合が半端ない。
「ま、まままマッサージか……!そうだよな、ただのマッサージだな!う、うむ!なかなかよかったぞ!ジー……ア、アルファン伯爵はマッサージがうまいな!」
アワアワしながら早口で捲し立てるフレなんとか殿下の唇にジークにい様の人差し指がそっと添えられた。
「ジークハルト。ですよ、殿下」
「……っ!」
至近距離のその囁きと、煌めく瞳の罪深さよ!許されるならば、今すぐ薔薇の花びらを撒き散らしたいです!
本当はもう少し見ていたいですが、ジークにい様に退散を促されたのでおとなしく従うことに致しましょう。
今夜はいい夢見れそうです!
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