【完結】腐女子の義妹が、私に婚約破棄を突きつけた王子をそっちの世界へ引きずり込もうとしている件

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第1話 可愛い義妹

これは大きすぎず小さすぎないよくある平和な国で起こった、ちょっとしたお話。





***







皆様、はじめまして。私の名前はテイレシア・オーガスタスと申します。オーガスタス公爵家の長女でございます。今は屋敷でティータイム中ですわ。


「それでね、お義姉様!」


そして私の前で手振り身ぶりを加えながら天真爛漫な笑顔で楽しそうに語っているのが2歳年下の義妹のロゼリアです。実は私と義妹に血の繋がりはございません。1年前に父が再婚して、その連れ子がロゼリアなのです。


私はどちらかというと地味な黒髪に緑色の瞳をしていて見た目も凡庸だと言われます。亡き母は異国の出身でしてとても美しい方だったのですが、私が引き継いだのはその髪色と瞳のみで顔のパーツは父に似てしまったのですわ。


それに比べてロゼリアは金髪碧眼の美しい少女です。その可愛らしい見た目からまるで妖精のようだと言われています。自慢の義妹ですのよ?

ロゼリアの母君……新しいお義母様は伯爵家のご出身なのですが、旦那様を事故で亡くした後も女手ひとつで伯爵家を切り盛りしひとり娘のロゼリアを立派に育てたのです。同じ女として尊敬しておりますわ。

そんなお二人がたまたまパーティーで運命の出会いをなさり、今に至ります。


え?私が複雑?とんでもありません、大歓迎でしてよ。新しいお義母様はそれはそれは良い方で、私のことも本当の娘のように可愛がって下さいますし、お父様も私とロゼリアを差別したりなどしません。ロゼリアと同じ金髪碧眼の美しい義母はまさに美の結晶です、眼福です。


あ、もちろん亡き母も大好きですわよ?きっとお母様が生きていればお二人は親友になられたであろうと確信しておりますわ。


私は公爵家の長女なので、婚約者がおります。この国の第1王子ですわ。私はもうすぐ王家に嫁ぐ予定なのです。私がいなくなればお父様はひとり寂しい余生を送るだろうと心を痛めておりましたので、お父様を大切にしてくださるお義母様とロゼリアには感謝してもしきれません……。


可愛い義妹とするお茶会が、今の私の1番の楽しみなのです。

私は楽しそうにおしゃべりをするロゼリアを見つめ、とても穏やかな気持ちになっていました。


「そしたら実は、完璧美少年が攻めで筋肉質な騎士様が受けだったんです!まさかのどんでん返しですのよ!もちろんわたしはリバ可ですわ!」


……ただ、話の内容は8割ほどわかりません。知識の乏しい姉でごめんなさいね。

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