case15 街を放浪する金髪JKの話15
一週間の自宅謹慎が解けても、私は家から出たくなかった。学校に行けば、また見下されたような目で周りから見られるだけだ。そんな私にお母さんはしつこく学校へ行けと行った。
「モエ!いつからそんな風になっちゃったのよ!私とお父さんはあんたに期待してたのに!」
はぁ、だるいなぁ。誰も期待してくれなんて頼んでないじゃん。
仕方なく学校に足を運んでも、やっぱりそこには私が思った通りのクラスがあるだけだった。
遠巻きに私を見て、ヒソヒソと何かを話す女子生徒。こちらをあざ笑うような目で見る男子生徒。担任の先生が何か話しかけてくれたけど、何を言っていたかは覚えていない。
「全く、富永さんはただでさえ成績が振るわないのに、おまけにこんな事件まで起こされちゃあこっちとしても救いようがありませんよ。自宅謹慎中にしっかり反省して下さい。」
「すみません。娘にはしっかりと言い聞かせます。この度はご迷惑をおかけしました。」
母が踵を返して教室を出る時、私は母の目が涙で濡れているのを見た。
あれ?おかしいな。私はお姉ちゃんと違って、勉強がよくが出来て、学校では先生に褒められて、それで、お母さんを絶対に泣かせたりしないはずだったのに。
一週間の自宅謹慎が解けても、私は家から出たくなかった。学校に行けば、また見下されたような目で周りから見られるだけだ。そんな私にお母さんはしつこく学校へ行けと行った。
「モエ!いつからそんな風になっちゃったのよ!私とお父さんはあんたに期待してたのに!」
はぁ、だるいなぁ。誰も期待してくれなんて頼んでないじゃん。
仕方なく学校に足を運んでも、やっぱりそこには私が思った通りのクラスがあるだけだった。
遠巻きに私を見て、ヒソヒソと何かを話す女子生徒。こちらをあざ笑うような目で見る男子生徒。担任の先生が何か話しかけてくれたけど、何を言っていたかは覚えていない。
清水恵の姿はクラスには見当たらなかった。
私がリストカットを覚えたのは、それからしばらく経ってからだ。確かその頃には、もうろくに学校にも行けなくなっていたと思う。
手首にカッターを添えて、それを引く。
すると赤い筋が私の色白の手首を伝っていった。
その時間、何故だか他の全ての事を忘れる事が出来た。
その時に感じる痛みが、私の心を癒してくれるような気さえした。
そして気づいた時には私の手は、ドロドロした自分の血で染まっていた。
私はその行為を、人目を忍んで何度も何度も繰り返した。
「モエ?電気もつけず何やってんだよ?」
部屋の入り口を見ると、そこには姉の姿があった。
見られた。どうしよう‥
頭が真っ白になった。その時も、私の手首から真っ赤な血が流れ続けていたし、片方の手にはカッターナイフが握られたままになっていた。
どうしよう‥、お姉ちゃんにも軽蔑される。どうしようもない妹だって、きっと思われる。
「モエ。」
私が気づくと、姉は私の事を強く抱きしめていた。
「お前、なんか辛い事があったんだろ?」
「お姉ちゃん‥、血、ついちゃうよ。」
私がそう言っても姉は私を離さなかった。
「ごめんな。守ってやれなくて。ごめんな。」
どうしてお姉ちゃんは私の事をこんなに思ってくれるんだろう。私はずっとお姉ちゃんの事、見下してきたのに。
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