私の幼馴染みの様子がおかしい

伊佐波瑞希

第1話

私、大塚真理は幼馴染みの大塚春斗と一緒に帰宅の為電車に揺られていた。

電車が進む最中私は徐に声をあげた。


「はぁ~、竹下くんカッコいい~」

「ふ~ん‥」

「ふ~んって私の話聞いてるの?」

「興味ないし‥」


私の心からの叫びに春斗は興味なしと言った声、というか言葉を私に返した。


春斗は手に持っている小説から目を全く離さない、ここで小説をどかそうものなら般若の如く怒り、しばらく口を聞いてもらえないのを私は知っている。

こうして話だけでも聞いてもらえるだけでも珍しいことなのだ。


全くこいつは昔からこんなんだ、

私と春斗は小学校の時に出会った

私と春斗が住んでいる香住市、その一区である川本には私と春斗を含め同級生が4人しかいない、だから小学校からいろいろな行事が一緒だった。子供会、運動会、登下校の班、地区対抗マラソン、さらに私と春斗は中学の部活も一緒だったため他の二人よりも行動範囲が重なった。ついでに私達の両親、特に母親同士の仲が大変よく、夕方になると母は私を連れてよく春斗の家に入り浸っていた。

その為、私達よく遊んだ。

庭や近くの広場で遊んだり、水路で遊んで近くのおじさんに怒られたこともあった。

そんな私達を中学の学友達は私達の名字が同じことから大塚夫妻とまで呼び、からかった。

正直、思春期真っ最中の私にはとても堪えた。

一時期春斗から距離を置いたほどだ。

だが、そんな私を他所に春斗は変わらず接するので意識している私がバカみたいになり今では普通に接している。


そんな私達も今や高校生だ。

高校は電車通学が必要な遠くの高校

これで腐れ縁ともおさらばかな?

と思っていたらまさかの高校まで一緒だったのは最早驚きを通り越して呆れた。


そして入学して3ヶ月、ようやく私にも春が来たらしい。

まぁ、春が来たと言っても好きな人ができただけなのだが、同じクラスの竹下雅人君、サッカーのスポーツ推薦でうちの学校に進学し、さらに勉学もできるというまさに出○杉君だ。顔もスポーツマンらしく髪は短く切り揃え、肌は日焼けし、体は引き締まっている。そして私が彼を好きになるきっかけとなった可愛らしい笑顔!!あれはまさにギャップ萌えだよ!!

私はすぐに彼の周りを女友達の協力のもと調べあげた。

現在彼女はいない、好いてる人もいない、ただ彼を狙う女豹は多数おり、うかうかしているといつの間にか彼の隣がとられてしまう。

焦った私は登下校の電車通学の際必ず一緒にいる春斗に相談した。

だが、先程の反応から推察するに春斗はまっっったく興味がないらしい、


可愛い幼馴染みの恋だよ!?

応援してよ!!

竹下君に話しかけて私を紹介してアピールして!!


そんな私の心の叫びなど知らずに春斗は読書を止めない。

こうして今日もまたなんの策も浮かばないまま無駄な時間が過ぎるのであった‥‥

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