第180話 仲間到着

「この短期間でそんな事が……」


 ヴィルモントから説明を受け状況を理解したムメイとシスも王を助ける事に考える間もなく同意し、今はまず王城を取り戻す為の作戦を考えていた。


「あ。ゼビウスなら何かいい案を教えてくれるかも」

「絶対に止めろ」

「えっ」

「奴は仕事が増えるからと死人を出す事を極度に嫌がる怠け者だ。助けを頼んで断られるだけならまだしも、死者を出すなと余計な事を言い出すに決まっている。向こうが全力でこちらの命を狙ってきているとしても」

「ああ……」


 即答で否定され一瞬固まったシスだが、その理由に納得してしたのか何とも言えない声が出た。


「トクメもだ。以前奴は少数対多数を眺めるのが好きだと言っていただろう。奴好みの状況となっている今助けを出す事はせんしむしろ邪魔をしてくる可能性が非常に高く、更には娘を危険な目に合わせないよう離すに決まっている。ただでさえ少数の今貴重な戦力を奪われるわけにはいかん」

「私何も言っていないんだけど」

「言うどころか心を読まずとも分かる。あと変な焼きもちは妬くな、奴が私を完全なる他者と見ているからこそ分かる考えだ。身内、しかも大事にしている娘と同じ扱いになるわけないだろう」

「…………」


 焼きもちに関しては図星だったのかムメイは何も言わないが、かなり嫌そうな顔になっている。


「策を練ろうにもこうも数が少なくては練りようがありませんね……」

「うむ、魔法妨害装置が発動している以上武術に長けた者が必要だがこれでは少し厳しいな」

「この街に大臣の手の者がいる以上冒険者を頼るわけにもいきませんしね」

「ヴィルモント」


 いい案が浮かばずインネレが頰に手を当てながらため息をついているとダルマが現れ静かにヴィルモントを呼んだ。

 それだけでヴィルモントは呼ばれた理由が分かったのかいつもの得意げな表情に変わった。

 

「お喜びください陛下、貴方の信頼できる部下がヒールハイに到着したようです。残念ながらこちらから迎えを出すわけには行かないので自力でここに来ていただかないといけませんが」


 王もそれだけで誰が来るのか分かったのか喜色の面を浮かべた。


「あやつか、ならばすぐにここへ来る。戦力もこれで解決するぞ」

「百人力と言っても過言ではありませんからね、心強いです」


 それから五分後。


「陛下!! ご無事ですか!!」


 王都脱出の際に王を逃す為に殿を務めたアルバートが無傷でヴィルモントの城に到着した。

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