TURN18:鉱山の決闘再び【前編】

 ついに悪の組織『ダークワールド』の本拠地にたどり着いた遊太達。その場所は…

(まさか…ここに戻ってくることになるとは…)

「デュエニウム鉱山…!」

「タカシ、ここ知ってるのか?」

「え、ああ、うん。Dシティに来る前…俺はここで働かされてたんだ」

「そうだったのか…」

(そういえば…アニメではこの鉱山にたどり着いた遊太は強制労働させられる人たちを目撃して激怒。オーナーの牛岡にデュエルを挑んで勝利、人々を解放するって話だったな。俺は本来このエピソードにチラッと映るだけのモブキャラ…ん?でもこの世界じゃ俺が牛岡を一度倒してるんだよな?今鉱山はどうなってんだろ?)

「よし、早速中に入るぞ」

「ちょっと待ちなさいよ大和。何か罠があるかもしれないわ。ここは慎重に進べきじゃないかしら?」

「うーん、そうだな…」

「お前さんたち、何やってるんだ?」

 スキンヘッドと立派な髭が特徴的なおじさんが話しかけてきた。

「え?あーえーっと…」

(どうする?素直に事情を話すか?)

(あのおじさんもダークワールドの一員なのかしら…?)

(デュエルで黙らせる方が早くないか?)

 ひそひそ声で相談する遊太、愛良、大和の三人。すると…

「…8番さん?」

「ん?おお!きゅーきゅーちゃんじゃねえか!久しぶりだなー!!」

「え?」

「タカシ、その人知り合いなのか?」

「うん。一緒に鉱山で働いてたんだ」

「きゅーきゅーちゃん、タカシって?」

「あ、えーっと。今はそう名乗ってるんです」

「ほおー!いい名前だなあ!それにしても何で戻ってきたんだ?しかも友達も連れてきて。まさか働きに来たわけじゃねーだろ?」

「えっと…実は…」


「悪い奴らがここにいるかもしれねえだと!?」

「確定では無いですけど…俺がここを出た後ってどうなったんですか?」

「オーナーがいなくなったからなあ。当然鉱山は閉山。皆新しい仕事を見つけるために出て行ったぞ。おでは鉱山が心配で時々様子を見に来てたけど…そういえば!変な兵士みたいな男が出入りしてるのを前に見かけたぞ!」

「その情報本当かおじさん!?」

「ああ。でも気になって追いかけてはみたんだけど見失っちまってな…」

「そっか…ありがとうございます」

「まずは中を探索するしかなさそうだな」

「よし、行こうぜ!」

「気を付けるんだぞー!きゅーきゅーちゃん…じゃなくてタカシだったか。応援してるぞー!!」


 おじさんと別れ、一行は鉱山の洞窟内部へ。以前ここで働いていて、内部をある程度知っているタカシが先頭を歩く。

「デュエニウム鉱山ね…こんな所でデュエルオムニバースカードの原材料が取れるのね…」

「ん?お!見てみろよ!何か光ってるぜ!!」

 崩れかけてる壁の中から放たれる光。遊太はそれを手に取る。

「おいバカか貴様!それも奴らの罠かもしれ…」

「これ、デュエルオムニバースカードじゃないか!」

「…何だと?」

「あー、えっと。デュエニウム鉱山では天然のカードが見つかることもあるんだ」

(と、説明してる自分が思うのもアレだが天然のカードって何なんだよこの設定…)

「ほえー…お、このカードは水タイプか…なあ!タカシのデッキに入れたらどうだ!?」

「え…ええ…」

 遊太が見つけたカードをタカシは確認する。

(確かに水タイプではあるけど…正直使いにくいし事故要員になりかねんよな…攻撃力よりも封殺を重視する俺のデッキには…)

 するとタカシは遊太の表情に気が付く。

(そんなキラキラした目で見ないでくれ!断りにくい!!)

「…大切に使わせてもらうよ」

「ああ!!」

 タカシは遊太から受け取ったカードをデッキに入れた。

(事故要員にならないことを祈ろう…)


 その後も鉱山を進む遊太たちであったが…

「…ん?」

「どうしたタカシ?」

「まさか迷ったんじゃないでしょうね?」

「いや…地形が前に来た時と変わってるような…」

「おい。そこに誰かいるぞ」


「クソ…何でわしがこんな事を…」

「おい貴様。ここで何をやってる?」

「何をって見張りをだな…って!それはこっちのセリフだ!」

(ん?この見るからに悪そうな男は…)

「ああああああ!!!てめえ!!!あのガキじゃねえか!!!」

「…タカシ、こいつの事知ってるのか?」

「ああ、うん。この鉱山のオーナーだった牛岡だ。前に俺がデュエルで倒したけど…」

「あの日貴様に負けたせいでわしは鉱山オーナーの座を失った!それからずっとどん底人生!!見張り番という下民どもの仕事を何故わしが…!全て貴様のせいだ!!積年の恨みを晴らす!!わしとデュエルしろ!!!」

 牛岡はデュエルガジェットを構える。

「え…ええ…」

(なるほど…俺が先に牛岡を倒したせいでアニメとは少し違う展開になってるのか…)

「随分と恨まれてるんだな…」

「というか逆恨みじゃない?」

「そんなことはどうでもいい。こんな鉱山の奥底に何故かいる見張り番。ここに何かがあると言っているようなものだ。おい、さっさとこいつを倒してしまえ」

(まあ所詮はアニメでは1回出ただけのモブキャラ…前に戦った時も楽勝だったし、今回も問題なく勝てるだろう)

 タカシもデュエルガジェットを構え…デュエルが幕を開ける!


「「デュエル!!」」

「先行もらいます。ドロー」


タカシ

HP:4000 AC:3 手札:5枚


牛岡

HP:4000 AC:0 手札:4枚


(牛岡が使うデッキは…前と同じと考えていいだろう。先行も取れたし、まずはいつもの動きからで問題ないかな)

「裏側カードを1枚出します」


AC:3→2

裏側カード:1枚


「そしてオーク博士の神理論を発動。手札を全て捨てて4ドロー」


AC:2→1

手札:2→0→4枚

『オーク博士の神理論』 マジックカード

 自分の手札を全て捨てる。そうしたなら、自分の山札を4枚引く。


(…よし、この手札なら回せる)

「ヨブゲロゲを召喚。効果で山札からリボンゲロゲを召喚。続いてリボンゲロゲの効果で墓地からドロゲロゲを召喚。その効果で1枚ドロー」

 早口で効果宣言しつつ、タカシの場にモンスターが次々と現れる。


AC:2→1

手札:4→3→4枚

『ヨブゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100

効果:このモンスターが場に出た時、自分の山札にある名前に『ゲロゲ』と付く下級モンスターを1体選び、召喚する。(このターン中にヨブゲロゲの効果を既に使っている場合、この効果は無効となる)


『リボンゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100

効果:このモンスターが場に出た時、自分の墓地にある名前に『ゲロゲ』と付く下級モンスターを1体選び、召喚する。(このターン中にリボンゲロゲの効果を既に使っている場合、この効果は無効となる)


『ドロゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100

効果:このモンスターが場に出た時、場に水タイプの爬虫類モンスターが2体以上いるなら、自分の山札から1枚ドローする。(このターン中にヨブゲロゲの効果を既に使っている場合、この効果は無効となる)


「よし!タカシのデッキのいつもの動きだ!」

「これでアイツの場には水タイプ爬虫類モンスターが3体…!来るわね!」


「ヨブゲロゲ、リボンゲロゲ、ドロゲロゲの3体でエクストラ召喚」

 3体のカエルモンスターたちがデュエルガジェットに飛び込み…ギターを持った巨大なカエルへと姿を変える!

「好きな四字熟語は先行制圧。嫌いな四字熟語は手札事故!いでよ!沼地の支配者ゲロゲロック!!」

「ゲーロゲロゲー!!」


『沼地の支配者ゲロゲロック』

エクストラ タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:1500 防御力:1800

召喚条件:水タイプ・爬虫類・下級モンスター×3

効果:1ターンに一度、このカードの素材モンスターを一つ捨ててもよい。そうしたならマジックカードまたはカウンターカードのどちらか一つを指定する。次の相手ターンの終了時まで、互いのプレイヤーは選ばれたカードを発動できない。(このターン中に沼地の支配者ゲロゲロックの効果を既に使っている場合、この効果は発動できない)


「チッ!憎たらしいあのモンスターを出しよって…!!」

「素材モンスターを1枚墓地に送って効果発動。対象はマジックで」

 ゲロゲロックがギターから放つ騒音が周囲に鳴り響く。


「来たぜゲロゲロック!」

「これであの男は次のターンマジックカードを使えないわけか」

「この布陣は簡単には崩せないわよ!!」


(…なんだろう。応援してくれるのは凄くありがたいんだけど、そういう事味方が言うと次のターンに大体覆されるんだよな…まあアイツは所詮モブだし大丈夫だと思うけど)

「ターンエンドで」

「ふん、わしのターン!ドロー!!」


タカシ

HP:4000 AC:0 手札:4枚

フィールド:沼地の支配者ゲロゲロック(残り素材2個)

裏側カード:1枚


牛岡

HP:4000 AC:0 手札:5枚


「わしは狙撃のガンウルフを召喚!」

「…!」

(前にデュエルした時とは違うモンスター…?)


AC:3→2

『狙撃のガンウルフ』

下級 タイプ:地 分類:獣 攻撃力:1000 防御力:100


「狙撃のガンウルフが召喚に成功した時、効果発動!相手の裏側カードを1枚狙撃する!」

「…!?」

 特殊な銃を持った二足歩行のガンマン狼が地面に向けて発砲。カードは破壊される。

「さらにカウンターカードを破壊した場合、相手に100ダメージを与える!!」

「っ…!!」


タカシ HP:4000→3900


(バカな!?モブキャラは基本的にメタカードは積んでいないはず!なのに除去カードを使ってきただと…!?)

「言っただろう!積年の恨みを晴らすと!貴様のカウンターカード戦術は対策済みという訳だ!ぐははは!!」

(まさか…俺がこいつを倒したせいで、以前より成長させてしまったのか?RPGでよくある一度倒したボスキャラと再戦するとレベルが上がってるアレ的な奴か!?)

「これで終わりでは無いぞ!!追撃のガンウルフ!!」

 更に銃を持ったガンマン狼が走ってやってきた!


『追撃のガンウルフ』

下級 タイプ:地 分類:獣 攻撃力:1000 防御力:100


「こいつは自分のモンスターが効果で相手にダメージを与えた場合、コストなしで召喚可能!更に100ダメージを相手に与える!!」

 追撃のガンウルフによる追撃がタカシを襲う。

「ぐっ」


タカシ HP:3900→3800


「続いて狙撃のガンウルフをダブルガンウルフへと進化召喚!」

 狙撃のガンウルフの身体が一回り大きくなり、さらに拳銃が二丁に増える。


『ダブルガンウルフ』

中級 タイプ:地 分類:獣 攻撃力:1800 防御力:700


「さらにダブルガンウルフの効果発動!200ダメージを与える!!」

 二丁の拳銃から放たれるビーム弾がタカシを襲う。

「チッ…」


タカシ HP:3800→3600


「さらにさらに上級進化だ!!」

 ダブルガンウルフが輝きだし、変化していく!

「銃を操りし獣人の王よ!歯向かう愚民を蹂躙せよ!!」

 ダブルガンウルフの身体は更に大きくなり、マシンガンを担いだ狼へと姿を変える!

「進化召喚!いでよ!マシンガンウルフ!!!」

「ルオオオオオオオオオオ!!!」

AC:1→0

『マシンガンウルフ』

上級 タイプ:地 分類:獣 攻撃力:2700 防御力:1500


「今回はマシンガンウルフを止めるカードは無い!効果発動!相手プレイヤーに500ダメージを与える!!ガンガンガンシューティング!!」

 マシンガンウルフの持つマシンガンからビーム弾が連射される!

「うぐうっ!!」


タカシ HP:3600→3100


「アイツ…タカシのカウンターカードを対策して…」

「しかもモンスターの効果で次から次へとダメージを…!」

「見かけによらず中々やるな」


「さあバトル開始だ!マシンガンウルフでゲロゲロックを攻撃!!」

 マシンガンから放たれるビームがゲロゲロックの身体を貫く!

「くうっ!!」


マシンガンウルフ 攻撃力:2700

沼地の支配者ゲロゲロック 防御力:1800

タカシ HP:3100→2200


「追撃のガンウルフでプレイヤーに直接攻撃!!」

 さらに追撃のビームガンがタカシを襲う!

「があああっ!!」


追撃のガンウルフ 攻撃力:1000

タカシ HP:2200→1200


「タカシ!!!」

「ぐはははは!!これがわしの復讐の力だ!ターンエンド!!」

「…!!」


To be continued…

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