士官学校への入学

ちなみに彼は師団長(中将クラス)へ上り詰めたのは最年少だ。先の大敗で前線に出ていたほとんどの将官クラスの軍人が皆、戦死したからだ。彼は文字の読み書きができたので士官学校に入学した。

『ここで1年間訓練するのか』

と思いこの学び舎の門をくぐった。


入学式が始まった。

『校長挨拶、校長の登壇です。一同礼!』

『第114期士官候補生の入学を歓迎する。これから諸君らは一年間ここで軍学、戦術、軍法、について学んでもらう。』

『校長が降壇します。一同礼! 続きまして元帥閣下より激励の御言葉です。』

『まず私は諸君らに謝らなければいけない事がある君たちも知っての通り先の大敗により多くの勇士を失ってしまった。本来二年の訓練期間を設けて部隊配属なのだがこのような状況の為に諸君らに十分な教育ができぬまま戦地に向かわせるのは心苦しいばかりだ、どうかこの老いぼれを許してくれ。』

と元帥閣下が涙ながらに言った発言にあたりはざわめいた。

『続いて生徒代表挨拶』

『第114期士官候補生代表、乃村貴士(のむらたかし)、我々は軍人として其の命を賭して、その本懐を遂げる事を誓います。』


それから3ヶ月間は座学が続いた宇宙での航法や距離の測り方などが主だ。

3ヶ月間、寝食を共にして彼は家庭と言うものを知らなかったが人と過ごし共に厳しい訓練を乗り越えた苦労が彼をのちの部下思いの優しい上官にさせたのだろう。

今では、

『貴様と俺とは同期の桜 

 同じ兵学校の庭に咲く 

 血肉分けたる仲ではないが

 何故か気が合うて別れられぬ』

と三世紀ほど前に使われていた軍歌を同じ寮の僚友と歌い合うほどの仲だ。

その後も地球上で行軍訓練や山岳訓練などをして歩兵としての素養を身に付けたのちに宇宙で実習船を使った操艦や航海の艦艇実習が行われた。もちろん機銃座の扱いもだ。それから敵の艦艇を強襲する上陸訓練も行った。そこでトップ成績を残したのが古賀班であった。古賀は発煙弾で敵の視界を奪って即座に上陸して制圧を完了させた。一名の撃墜判定を食らったが勝利判定はもちろん彼の班に与えられた。その後も部隊訓練で指揮官としての頭角を顕著に表していくのだった。

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星間戦争 蛇の〆 @janon

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