第3話 再生
(うぅ、ここは?)目が覚めた。
『統合宇宙軍所属、堂島海燕(どうじま かいえん)大尉で間違いないかね。』
と医師らしき人物が訪ねてきた。
『##########』口角の筋肉が衰えてるのか呂律が回らなかった。
『君の隊は全滅したと聞いている。第117調査船団の生き残りだそうだな。あぁ無理に話さなくてもいいから話を聞いてくれ。』
どうやら軍医の話によると船団が壊滅し命令を受け二日後に到着したパトロール艇に救助されたようだ。しかも気絶した状態で発見されたらしく酸素ボンベの交換もしてなかったためかなり危険な状態だったらしいがなんとか回復したようだ。
『救助された時に君以外にも二人ほどいたんだが残念ながら生き残ったのは君だけだ。』
それを聞いてなんとも言えない感覚に襲われた。生き残った事への安堵感や同胞への申し訳なさや不甲斐なく自分だけが生き残ってしまったという自責の念などが同時に込み上げてきて
『俺はまたパイロットとして飛べるでしょうか医務官殿‼︎』さっきまで呂律が回らなかったのに気付いたらそう口走っていた。
『んー君の努力次第飛べる言った所だろうか、何にしても未知の生命体と戦って生き残っただけで奇跡だよ。』
『奇跡だなんてお恥ずかしい』
『君は退院したら本国では奇跡の英雄として扱われるだろうが生き残った君の事を小心者と言う輩もいるから気をつけなされ。一応言っておくがこれは上層部の決定である。』
退院してそれからリハビリ生活が始まった1年と4ヶ月で部隊に復帰した。次の配属先は軍管轄の訓練学校内に置かれている第501統合教育航空団に配属された。そこでは新米パイロットの養成と自身の経験を元に未知の生命体との決戦に備えた新戦術の考案に励むことにした。
それからスラバ宙域冲海戦から4年近くが過ぎた頃、不況だった戦後経済も安定してきて統合政府はこの事態をようやく重く見始めたようで人類の宇宙進出の障害となる事を認識し、新型戦闘機とその専用運用艦のは建造に本格的に着手し始めた。計画自体は以前からあって設計の段階まで済んでいて試作機の予算がまず承認された。
その試作機7機全機が教育航空団内の堂島が所属する戦闘訓練中隊に配備された。主にその任務は訓練パイロットの模擬戦相手が主任務であるが新型機のテストなども兼ねている部隊だ。
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