第2話 悪夢
《ルビを入力…》人類が宇宙へ進出して、月と火星にたどりついて更なる豊かさを求め、更なる進出を果たそうとしていた。だが悪夢は、前兆もなく唐突にやってきた。
第117調査船団
フロンティア級三番艦ブロッサム
大型移民船二隻
護衛駆逐艦三隻
護衛戦闘機八機
で成る、調査船団が壊滅する事件があった。
『こちら、護衛駆逐艦、
『こちら、ファルコンリーダー了解した。直ちに発艦する。』
駆逐艦のレーダーに写った座標に、スクランブル発進し、偵察に護衛戦闘機二機が向かう。
『こちらファルコンリーダー、目標地点に到達した。現在異常なし、ちょっと待ってくれ、様子がおかしい、うわぁぁぁぁあ‼︎、』
と言い残しスクランブルした二機の、レーダー反応は途絶えた。すぐさま、目標からの攻撃があった。
『
直ちに、目標を敵と識別した。
『ミサイル一斉射』
艦対空ミサイルを一斉に発射したがすべて迎撃または、目標ロストした。それだけでなく、敵の攻勢は一方的で宇宙で眩い閃光が走ったと思ったら爆発の光だった。
『くそぉ俺たちの母艦が沈められた‼︎何処に帰ればいいんだぁぁあ‼︎』
『この化け物がぁぁあ‼︎』
と母艦は壊滅、部隊は混乱状態に陥り継戦能力は無きに等しかった。
『貴様ら落ち着け‼︎それでも戦闘機乗りか‼︎』
戦闘機乗りとしてのプライドを盾に平常心を保つのが精一杯で満足に味方を説得させる事もできなかった。
『あんた馬鹿かよ‼︎なに悠長なこと言ってんだ‼︎俺たちにはもう帰る艦が無いんだ‼︎』
『3日分の酸素と食料が切れたらどうしろってんだよ‼︎』他のパイロット達は絶望していた。
指揮系統の損失と母艦の損失により、連携が乱れ、残り六機の護衛戦闘機も雀の涙にもならなかった。
護衛といっても護衛とは、名ばかりのもので、人類同士が争い合っていた統合戦争時代の水上戦闘艦と戦闘機の設計を宇宙用に見直しただけという、なんともお粗末な代物であった。しかも、そのほとんどは新規建造ではなく、大規模改修という形で行われていた。更に艦対空ミサイルも大気圏内用推進器から宇宙用の推進器に付け替えられただけで内部の姿勢制御プログラムなどは当時のままでプログラムの更新待ちの状態だった。これには、幾つか理由はあるが大きく三つある。統合戦争時代の技術的な進歩が大きく、技術的に信頼があったということ、戦後の混乱による経済の低迷の為、新規開発の予算が統合政府の議会で承認されなかったこと。さらに、人類が宇宙に人類以外の知的生命がいないと思い込んでいたことが今回の事件の人類側最大の過失と、言えるだろう。
フロンティア級惑星探査艦三番艦ブロッサム旗艦、率いる第117調査船団が何者かの攻撃で壊滅した事実は歪められ世間には、第117調査船団遭難事件として公表された。のちに、117事件とも表される大事件として連日メディアで取り上げられた。そこで初めて人類は、宇宙は人間の領域でない事を理解した。
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