第3話大学の先輩2
「どうして上達しないのか?」竹田は不思議だった
そんな事を考えていた時だった。
まだ二週間しかたっていないのに結城先輩から着信があった。
「結城先輩、山内君のパソコンはどうですか?結城先輩には、迷惑かけてしまって済みません。」
竹田は結城美保に謝った。
すると結城は
「その事なんだけど~。言いにくいんだけど~。京子ちゃんごめんね。私じゃあ山内君に教えられないよ。私の教え方がわるいのか?山内君は、全く覚えないの。すぐ忘れてしまうの。悪いけどごめんね。山内君に伝えてほしいの。もう、
「夕暮れに」来なくていいって。
本当にごめんね。山内君を責めないでね。私の教え方が悪いんだから。本当にごめんね。」
竹田は「こちらこそ、迷惑かけてごめんなさい。気にしないでください。今までありがとうございました。」
そう言って、携帯を切った。
ついに大学の先輩にまで見放されてしまった。
竹田はどうしたらいいか分からなくなっていった。
社内でも山内を馬鹿にする者が出てきて酷いいじめが始まった。
もう、誰も山内に仕事を頼む人はいなくなっていた。
そんな時、社長は山内を呼んだ。
山内は社長と話しをしたあと、隣の誰も使ってない
部屋に移動をした。
そして、次に竹田も社長に呼ばれた。
「山内君には一人で今からパソコンの練習をしてもらうよ。竹田さんたまに、山内君の様子を見てくれ。山内君は酷いいじめにあっている。
いじめから守るためと、パソコンの上達にはこの方が本人のためだと思うんだよ。森くんにも声をかけておいたよ。
竹田さんと森くんなら安心して頼めるからね。」
社長の言葉に竹田は
「山内君には気の毒だけど、これで自分の仕事ができる」と内心ホッとしていた。
山内君はあれから毎日誰もいない部屋でパソコンの練習をしていた。
社長から渡された練習用の資料をみながら一生懸命に取り組んでいた。
そんな時だった。
竹田は山内に呼ばれた。
山内は思い詰めていた顔をしていた。
「竹田先輩、今まで迷惑かけて済みませんでした。今月いっぱいで、この会社を辞めようと思うんです。辞表を出しに行く前に、私物の整理と竹田先輩の隣の自分の机を綺麗にしておきたいと思うんです。
どうせ私には仕事がないですし、
よろしいでしょうか?」そう言った。
竹田は「そうね。残念だけど仕方ないわ。いいわ掃除しても。」そう言った。
山内が掃除をして、自分の私物を自分のバックに入れて、引出しの掃除をしていると、机の引出しの裏に手紙が貼ってあった。
山内は「この手紙はいったい?なんでしょうか?」
竹田にも見に覚えがないものだった。
竹田は「森先輩?この手紙はいったい?」
森は青ざめた顔で言った。
「これは竹田がまだ入社する前にその席にいた~。これはあいつの字だ間違いない。」
その手紙には「君は大丈夫」そう書いてあった。
「先輩その人の事を教えていただけませんか?」
そう森に言ったが、森は
「何でもないよ。仕事、仕事、そんな手紙ゴミ箱に捨てろよ。」そう言って
話をはぐらかした。
だが社内のざわめきは普通ではなかった。
竹田は妙な胸騒ぎを覚えた。
そして、
会社の歯車がゆっくりとゆっくりと
狂っていくことになる。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます