非戦闘系職業の成り上がり ~生産職【魔法具製作師】の俺が、革新的な自作魔法具使って力を底上げ。そのまま最強目指して探索、無双する!
水瓶シロン
Episode.1 探索者登録
「探索者登録をお願いします」
ここは
少し長めの黒髪を襟足くらいで一つ
「こちらにお名前とご住所、年齢、生年月日をご記入ください」
少年は言われるまま、ボールペンを右手に取り書類に記入し始めた。
─────
シンは書き終えると、カチリとボールペンの芯を仕舞い、書類を受付職員の方へ向くようにして差し出す。
「それでは、次に
そう言って受付職員は、ビニール製の小袋に入った、一本の専用の細い針をシンに渡す。シンは少しばかり顔をしかめたが、袋から針を取り出し、左手人差し指に刺す。ピリッという痛みと共に、針を刺した跡から、一滴の赤い
カウンターの脇に置かれた解析機の皿状の小さな台に血液の雫を落とす。針と一緒に小袋の中に入っていた絆創膏を指に巻いている間に、解析機から伸びたコードと繋がっている液晶画面を、受付職員が見ている。
ピコン、という解析完了を知らせる音と共に液晶画面に解析結果が写し出される。そこには、シンの
「診断結果がこちらになります」
そう言って受付職員は、改めて書類をシンに見せてくる。
(今日この日のために、長い間バイトして、探索者用の装備を揃えられる金を貯めたんだ。出来れば前衛職が良い! そう!【剣士】だ! 剣士来い剣士来い剣士来い剣士来いッ!!)
思い起こされるバイト生活。昔から両親に憧れて探索者になりたかったシン。そのためにはあらゆる努力を惜しまなかった。
大きな期待と夢を胸に、シンは差し出された書類を見る。すると─────
市ヶ谷シン
【魔法具製作師】 Lv.0
HP :1000
MP :250
STR:100
INT:100
VIT:100
MND:100
AGI:100
《スキル》
・魔法具製作
「登録者様の
シンは途中から受付職員の話が耳に入ってこなくなった。期待を胸に膨らませて、さあこれから探索者としてやっていくぞという思いを
(魔法具製作師……? おいおい、非戦闘系職業じゃねぇか……)
期待していた【剣士】でも、ましてや前衛職でもなかった。完全な非戦闘職。
期待通り、思い通りにはいかないというのはよくある話だ。しかし、だからと言ってすぐに受け入れられるというものでもない。
シンは砕けた夢と
─────次の日。
「なぁ、市ヶ谷。お前、探索者登録したんだって?
ここは第七高等学校。割と最近建てられた学校で、この街唯一の中高一貫校である。そしてこれは、西校舎一階、高等部一年一組の教室の、ある一風景である。
窓際の席に座っていたシンの所に、三人組の男子が寄ってくる。その真ん中に立つ、いかにもお坊っちゃまという風格の男子がシンに声を掛ける。
(俺、コイツ苦手なんだよなぁ……)
シンは内心
「魔法具製作師だったよ……」
「魔法具製作師ぃ~? あっはははははは!!」
お坊っちゃま男子は抑えることなく、高らかに嘲笑した。目尻からは涙が
このお坊っちゃま男子───
「お前ら、聞いたかよ? 魔法具製作師だってさッ! 生産職中の生産職じゃないかッ!!」
両隣に並んで立つ二人に、晃太が話を振る。二人は呼応するかのように嘲笑した。
「で? これからどうするんだよ。まだ行方不明になった親を探しに、
「まあ、ぼちぼちやっていくさ」
「ま、精々死なないように頑張れよぉ~? ぷっ……はははははッ!」
そう言って、晃太とその連れ二人は、授業開始のチャイムと共に、自分達の席に戻っていった。
(はぁ……何も言い返せない自分が情けない……。実際俺は生産職。これからどうしていったもんか……)
シンはため息をつき、
─────放課後。
「取り敢えず、装備を買いにいくか……」
シンは、バイトで貯めた金を手に、必要最低限の装備を整えるため、帰路の途中にある店に立ち寄った。
(買うものはもう決めてある。ナイフ、レザーアーマー、レザーブーツ、ポーション類……)
シンはそれらを店員に注文し、取ってきて貰う。たったこれだけの装備を買っただけで、長い間汗水垂らして稼いだ金が消し飛んだ。
シンは買った装備を、探索者バッジの特殊空間へ仕舞い込む。こうすることで、所有者であるシンの声掛け一つで、その身に一瞬で装着出来るという便利アイテムである。
そして、バッジの力でその身体はエーテル体となり、戦闘中に負傷しても、装備を解除すればもとの身体は無傷のままだ。また、探索者としてのステータスの反映は、身体がエーテル体のときのみである。
シンは早速
(非戦闘系職業とはいえ、始めての
また、それぞれに探索者の適応水準レベルが
ただ、これは強制ではなく、水準レベルに達していなくても、本人の意思さえあれば
シンは目的のCクラス
シンは、水準レベルを承知の上でソロで───それも非戦闘系職業である【魔法具製作師】の身でゲートへと足を踏み入れる。第七高等学校指定のバッグの内ポケットから探索者バッチを取り出し、その手に握る。そして、探索者バッジの起動コマンドを口にする。
「
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