こたつ
冬に入りかけた寒い日の晩。たーくんこと
そうして同じ学科ということもあり二人の仲は次第に深まっていった。三咲は匠海の世話焼きなところに惹かれていた。細かなところまで気が付いてさりげなく話を聞いてくれたりするところが。匠海は三咲の純粋なところに惹かれていた。楽しいことは楽しいと言うし、嫌なことがあれば機嫌を悪くするところが。同じ学科だから必修の講義はすべて被っている。だから大体、隣の席に座って仲良く二人は授業を受けていた。三咲は大学に知り合いなど当然いなかったし、匠海も仲のよい友達はほとんど就職したから地元とはいえ友人はいなかった。
二人が付き合うのは自然な流れだった。どちらが言い出したか分からないが二人の関係はいつの間にか彼氏と彼女になっていた。周りから見れば二人の関係は変わっていないように見えたが、当の本人たちは全く違っていた。二人は初々しいほどにお互いのことを強く意識するようになった。この頃から三咲は匠海のことをたーくんと呼ぶようになった。匠海は三咲さんから三咲と呼び名を変えた。たったこれだけの違いでも二人は呼び合うたびに赤くなっていた。
そうして付き合い始めたのが夏頃。次第に大学以外でも会うようになった。ある程度のデートスポットは行ったあとこの前の土曜日に匠海は三咲の家に遊びに行った。三咲は狭くて汚いよ、なんて言っていたけれど、きれいで整頓してある部屋だった。頑張ってきれいにしたんだと三咲に言われ匠海はうれしそうだった。二人は他愛もないおしゃべりをしたり、三咲が焼いたクッキーを食べたり、借りてきた映画を見たりして楽しい時間を過ごした。
それで今日は三咲が匠海の実家におじゃましているというわけだ。さっきも言ったが匠海の両親は旅行中。二人の頬は上気している。
「たーくん、きついって」
「うん、確かに中、狭い。でもあったかいよ」
「たしかに、たーくんが入ってきてからあったかい」
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