矛盾のない夢

 多分いま僕は夢を見ている。

 家族と笑い合って朝ごはんを食べた後、成宮さんと遊びに行く。さすがに二人きりとはいかず4人で水族館に行くのだけれど、そのうち二人は付き合っている。だからもし、僕と成宮さんが付き合っていればダブルデートのようなものだ。太田と竹本さんが付き合っていることを考えると、僕たち二人は邪魔者のような気がするけど、今回は成宮さんがどうしてもこのメンツで遊びに行きたいというから、こうして集まることになった。ちなみに太田と竹本さんが快諾してくれたのは成宮さんが彼らのいわゆるキューピッドだったというのもあるだろう。はじめ太田は僕の、竹本さんは成宮さんの友達だった。

 待ち合わせの時間は10時に現地集合。そうは言いつつも僕と成宮さんは最寄駅が一緒なのでそこで先に待ち合わせることにした。二人より先に成宮さんの私服姿が拝めると思うと今からうれしい。駅前が終点なのでボタンを押す必要はない。

 さて時刻表通りにバスは着いた。改札前のベンチで待っていると人混みの中に一際輝いた姿があった。成宮さんだ。今日もきれいだ。じっと見ているとこちらが恥ずかしくなってしまうので平静を装いつつ僕はさりげなくおはようと言った。成宮さんのおはようは僕には勿体なさすぎるほど魅力的なものだった。

 電車も遅れなかった。車内のボックス席でスマホの画面を見せ合いながら、これが見たい、こっちも見たいと盛り上がった。僕は水族館に着かなくてもいい、この時間が永遠に続けばいいのにとさえ思った。でも成宮さんがこんなにも楽しみにしてるのだから、やっぱり水族館には行きたいと思い直した。横では成宮さんがクラゲの写真に見入ってる。かと思うと急に画面をこちらに向けてきれいだよねと言われた。成宮さんの方が、、、と思った僕は一瞬答えるのが遅れた。そのせいで話を聞いてなかったと思われたらしく成宮さんは少しいじけたみたいだ。申し訳なく思いつつもそんな表情がかわいかった。

 こんな感じで楽しくやりとりをしていたら目的の駅に着いた。もう太田と竹本さんは着いているらしい。成宮さんには竹本さんから連絡が入っていて、先に二人で入って見ておくということだった。ちなみに僕の方には太田から「まあその辺よろしく。お前も二人きりの方がいいだろ!」とメッセージが来ていた。こんなはっきり言われると恥ずかしいが、二人きりの方が良いのは事実だ。オッケーサンキュと返した。成宮さんは本当に4人で回るものだと思っていたらしくガッカリしていたが、別に僕と二人きりが嫌なわけではなくてホッとした。

 入館料を払ったあと二人で水槽を一つずつ感想を言い合いながら見て回った。ところどころガイドさんの解説が入る。


 こちらのクラゲは元々の生息場所が未だに分かっていません。しかし、オホーツク海あたりに生息していたと考えると矛盾がありません。しかしそうは言っても矛盾がないだけで、それが本当かどうかは分かりませんが。

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