第5話 購買
俺の高校では、2日目から6限目までの授業が開始される。
そのため昼休憩も必然的にあるわけで。
そんな昼休憩の時だった。
「 やっべ……弁当忘れた 」
俺は2日連続で寝坊をかまし、見事に妹が作ってくれた弁当を忘れてしまった。
( 仕方ない、購買の特製オムそばサンドを買いに行くとするか )
と思い、マイバッグから財布を取り出し、売り切れないうちに購買に向かった。
★★★
俺が購買の場所にたどり着けば、時すでに遅しか多くの人だかりが出来てた。
ここの購買はかなり人気で、特に有名なのが特製オムそばサンド。焼きたてのオムレツの中にソースが見事に効いている焼きそばが入っているのをパンではさんでいるサンドウィッチである。特製ってついているが、特に意味合いは無い。でもこれがとても美味しいのである。
……閑話休題
幸いお目当ての特製オムそばサンドとおまけにコロッケパンの二つを買い満足した俺は教室に戻ることにする。
そんな時だった。
「 ……ハア、ハア 」
走ってきたのだろうか、サラサラとした黒髪が揺れている。
思わず俺は見とれてしまう。だって、そこにいたのはーー
俺の一目惚れした、転校生だったから。
「 今日のパン全て売り切れしましたーー! 」
俺が思わず立ち止まっていると、元気のいい購買のお姉さんの声が響いてきた。
「 …………あ 」
どうやら、暮町さんは購買のパンを買いにきたんだろう、しかし今さっき売り切れてしまったみたいだ。
ったく、仕方ないな。
「 あ、あの……暮町さん! 」
「 ……? は、はい、うちに……何か用ですか? 」
「 これ良かったらあげるよ。たぶん、昼飯無いんでしょ? 」
と俺はさっき買った特製オムそばサンドを暮町さんに渡した。
「 あ、言っとくけど、お金はいらないからね! 」
「 え、あ、あのーー 」
気恥ずかしくなった俺は気づいたら足早で教室を駆け出しっていったのだった。
★★★
このあと俺は恥ずかしさに震えてせいで、昼飯食い損ねたなんて言わないんだからね!?!?
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