第13話 命名

「君の病名は、ロイブロ症候群だ。稀な症例だが、君が抱く過度な自己神格化を強調した犯罪行為や不特定多数の宗教を混合させた言動がまさにその兆候だ。幸い私の知っている病院に同じ症状の者がいる。自分を客観視するいい機会にもなるだろう」


 ~


「協力感謝するよ、先生。しかし驚いたな。自分を神だとのたまってた殺人鬼が、あそこまでしおれるなんて。ただの病人だと分かったことが余程ショックだったんだな」

「病気ではない」

「え?」

「さっきのは全てデタラメさ。紹介した病院には、同じデタラメを言った患者がいるだけ」

「じゃあ、あいつは…」

「健康で同情の余地のない、ただのクズさ」

「なぜあんな嘘を?」

「名付けるというは、支配でもあるのさ」

「支配?」

「ああいう自分を未知なるものに見せたいかまってちゃんには、懲役刑罰よりもこれ宣告が効くのさ。名を付け、把握された特定の囲いに仕分けられることがな。差し出がましいかもしれないが、これが私にできる裁きだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る