short TaleS
Aruji-no
第1話 最速
「何だ?この騒ぎは?」
老齢の
「なぁ、何だこの騒ぎは?」
彼は、近くにいた
「何だ?あんたこの街のもんじゃないのか?」
「いや、ここのもんだが」
「なら知らないはずないだろ。ティーガー・チロスだよ」
「ああ。あいつがどうかしたか?」
ティーガー・チロスとは、
「ははは。さすが地元って感じだな。ブルータ・ムルージュ。レニア州から来た」
「ラウド・アデス。
握手を交わすふたり。
「光栄だな。聞いてないか?今日は、
「今日だったのか」
「昨日から車を飛ばしてきたが、地元民には敵わんな」
「こんな離れたとこでいいのか?」
「面倒は避けたい。ここは
「あいつのファンは皆兄弟だと聞いたがな」
「今だに理想論さ。それより聞きたいんだが」
「何をだ?」
「彼に関する噂さ。昔ここで、とんでもない特訓をしてたとかいう…」
「特訓?」
「ああ。
「152形de-50。通称ウォーリアーだ」
「何だ知ってるじゃないか」
「俺と一緒で、街一番の年寄りだからな」
「だが、いまだに現役と聞くぜ」
「あいつが最初に挑んだのは、
「そんな頃から!?」
「最初は微笑ましい光景だったさ。だが、
「そこだけ聞くと、まともなやつじゃないな」
「近寄りがたい存在ではあったな。しかし、今じゃ誰もがお近づきになろうとしてる」
「俺もそのひとりだな。イカれた特訓の成果ってわけだ」
「今じゃ、
「そりゃあ、さすがに盛り過ぎだろ」
にわかに駅の方が騒ぎ始めた。
「お!遂に来たか!」
「顔を拝めるといいな」
「そう願う。ところで、あんたは何用だったんだ?」
「これから仕事でな」
と、駅の方を向きながら言うラウド。
「タイミングが悪かったな。少し収まってから出直したらどうだ?」
「そうしよう。じゃあな兄弟。余裕があったら、是非ミラージ・ダイナーのハンバーガーを試してくれ」
「ありがとう。旨かったら、ダチに自慢しとくぜ」
その日の夕方~
「ニュースぐらい観てると思ってさ」
「それでも連絡ぐらいしろよな」
「次はそうする」
「だが、これは凱旋当日にもやることなのか」
「ここに帰ってすることと言えば、まずはこれさ」
「ミラージ・ダイナーのハンバーガーを頬張ることじゃないのか?」
「インタビュー観てんじゃん。それは明日でもいいよ」
疾走するティーガーは息切れることなく、ラウドとの会話を楽しんでいた。
ちなみに、彼のすぐ横でラウドが運転している
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