はじめましての距離

新吉

第1話 くらすめいとの距離

 くらすめいとそれとそうるめいと


 おはよう

 おはよう、俺はマモル。ススムの友だち、だけどこいつは今までのススムとは違う。


「よう!記憶は戻ったか?」


「マモル!記憶喪失じゃないんだって!」


「元の世界、ね」


「…信じてくれるのか?」


「そりゃ、保健室のせんせと一緒に話されちゃな」


「ありがとうマモル!心の友よ!」


「おう!」


 かけあいもいつもどおり。だけど、俺が人魚ではない世界からきたそうだ。そもそも人魚は美女だけなんだそうだ。全国の人魚に謝れ。



「え、お前どこ行くの」


「俺らはプール」


「え、お前そこ水着?どうなってんの?」


「えっち」


「いや、そういう意味じゃねぇよ!」


「鱗と肌のつなぎ目隠してるの、傷みたいでグロいぞ?見る?」


「見ない、ごめん…また委員長に怒られるな」



 ほんとにいろんな種類の人が生きてるのなあ。


 ススムの呟きにツッコミをやめる。こいつが何も力がないことを以前悩んでいたからだ。だからきっとこんな風に別の世界に行っちまったんだろうな。


「なあススム?お前もススムだけど、じゃあこの世界にいたススムはどこにいったんだろうな?」


「あ?」


「お前が帰ったら戻ってくるのか?」


「お、俺にわかるわけねぇだろ!?俺だって突然で」


「わりぃわりぃ、聞かなかったことにしてくれ」



 ガキの頃から一緒なのに、まるで遠くに行ったみたい。マヤ先輩からススムをよろしくと言われた。彼にとって今世界がすべて敵のようだ、優しい世界を作ってやれと。

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