パららら
@mammau
第1話
あんなことを、声を大にして言える勇気は
僕にはなかった、はずなのに。幾度となくバットを振り続け、口の中は乾き切り、口に入った砂すら吐き出す水分がもう口には残っていなかった。
僕の情熱は、幾度も照りつける太陽に呑まれそうになり、「辛い、もう逃げ出したい。」と何度も思った、でもスパイクは僕が逃げること許してくれないらしい。
でも本当に辛かったのは、冬だ。
体幹、筋トレ、素振り、体幹、筋トレ、素振り、体幹、筋トレ、素振り、体幹、筋トレ、素振り。もう何回やったかわからないくらいと言うことがわかるくらいやった。
でも野球だけが、僕の青春を形作ることが許されている唯一無二であると言うことを、信じて日々を耐え続けた。
その甲斐があって、高校に上がってから初めて背番号がもらえた。僕はたまらなく嬉しかった。家に帰り、家族にはあえて何も言わず何事もなったのかのように一緒にご飯を食べいたとき、父が突然「先に風呂に入っていいぞ。」と言った。驚いた、一番風呂はどんな時でも父と決まっていたのに。うちはなんというか専制君主制というか家長制が強く感じられる家だったため風呂好きの父が一番風呂と決まっており今まで一番を守り続けていた。驚きはしたものの、部活帰りの学生にとってすぐに汗を流せないのは、かなりきついものだった、そのせいか何も考えずに喜んで一番風呂をいただいた。風呂上がりに自分の背番号がまだ消えてないか気になり自分の部屋に向かった。カバンの中にあることを確かめるとそれをつまみ出しベットの上に置いた。嬉しさのあまり何度も何度も背番号を見ては、
笑わずにはいられなかった。
パららら @mammau
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