地獄なんてクソ食らえ!

ドッグレモン

第1話《地獄に落ちた!》

悪魔だね、俺・・・しかも胸あるし・・・

「どうしてこうなった?・・・え?なに怖。」

 少し整理しよう。あれは〜確か、数分前。

━数分前、現世で━

 俺はいつものように目を覚まし、いつものようにギリギリの時間で学校に通っていた。ちなみに高校生。すると、登校中。

 ガシャーン

「危ない!」

「うぎゃーー!」

 そう!死んだのである!工事中の事故で。そして気がつくと、そこは雲の上でした。

「はっ!ここは、天国?俺は、死んだのか?」

 独り言をつぶやいていると。

 カンッカンッ

「これより!閻魔裁判を開始する。君は〜」

 え?なに?めちゃ唐突やん。

「君は、天国行きだね。」

 あれ?なんか勝手に判決決まっとる。まぁ、そんな悪い事してないし、天国行くのは当たり前か。

「では、天国で楽しくやりなよ。じゃあ!」

 この閻魔様、何かイメージと違う。すんごい優しい。

 ポチッ

「あ、ミスった。」

「え?」

 ガシャ

「いやーーーーーー!」

「あ〜〜まぁ、いっか!はい次呼んじゃってー」

 こうして俺は奈落に落ち、地獄に落ちたのだった。・・・キレていい?

「なんだ?あのクソ閻魔!てか俺、なんか胸あるくね?俺女になっちまってるよ・・・尻尾もあるし・・・しっぽ?!」

 俺は自分の尻尾をまじまじと見る。

「これ、悪魔の尻尾だよね?黒いし、スペード型やし。もしかして俺、悪魔?!」

 すると、誰かが声をかけてくる。

「あの〜?大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫で、・・・ファ?!」

 俺がそっちを見ると、猫耳の美少女が立ってるではないか!

「本当に大丈夫ですか?・・・もしかして、現世の人?」

「あぁ、はい。そうですが?」

「うわぁ、すごい!始めて見た!・・・あんまり見た目は変わんないんだね。」

「え?あぁ、はい。」

 俺は困惑していた。閻魔にスナック感覚で地獄に誤送されて、その次にこんな美少女出て来るとか・・・。駄目だ、思考回路が停止している。

 すると美少女が言う。

「現世の人だったら、ここの事よく分からないよね?」

「え?教えてくれるの?」

「勿論!私達友達じゃない!」

 へ?いつから?

「おっと!自己紹介がまだだったね!」

「お、おう」

「私は地獄生まれの悪魔!アイニである!」

「えっと、俺は・・・太ッ・・・」

 駄目だ・・・自分の名前が太郎とかいうクソ雑魚モブみたいな名前だなんて言えない!恥ずかしすぎる!仕方ない。偽名を名乗るか。

「タ・・・タミルっていいます!」

「へぇ、タミル。いい名前だね!」

「あ、ありがとうございます。」

「そんな敬語使わなくて良いって!私達、友達じゃない!」

 だからいつ?!まぁ、本人がそう言うなら。

「ねぇ、アイニ!」

「なんだい、タミル?」

「ここは、どういうトコなの?」

「え?なんでそんなこと聞いてくるの?」

 ん?何こいつッ。アホなの?ねぇ、アホなの?

「え、だってさっき。」

「あ!思い出した。」

 怖い。この人怖い。

「えっと、ここはね!リーズィヒ帝国っていう国の領土だよ!」

「あぁ、国があるのか。他の国はなんかあるの?」

「えっと、アトリーチナ連邦っていう国があるよ。」

 ん?なにこの既視感。

「でもねその国、帝国と仲良くないんだよ。あ!ちなみに私は帝国の人だよ!」

「あぁ、そうなのか。で?なんで仲悪いんだ?」

「それはね、帝国の一部の人が勝手に連邦国を作ったんだよ!それでね、帝国の偉い人が戦争する!って言ったの!」

「待って?戦争してんの?!」

「うん!」

「そんな陽気に言うもんじゃねぇだろ。・・・で?なんで、その一部の人は国を作ったの?」

「皆、平等な世界を創る!って演説してたよ、テレビで。」

「赤化しやがった!」

「せき・・・か?石じゃないよ?」

「あぁ、多分この世界の奴らは分からんからいいよ。」

「ん?・・・あ!家来る?」

「へ?」

「だって、あなた現世から来た人だから、無一文でお金も無いでしょ?」

「う、うん」

 なんか心に刺さるものがあるな・・・

「家に泊めてあげるよ!ついでに、仕事も紹介してあげる!」

「おぉ!ありがとう!」

 結構頼りになるな、俺はついてるのかもな比較的。

 そう思ってたのも。つかの間でした・・・

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