シンジられない

エリー.ファー

シンジられない

 信じたい。

 君を信じたい。

 本当なんだ。

 君は一切、僕のことを信用してはいないだろうけど、僕は本気さ。

 僕は君を信じたい。 

 だから、頼むから、僕に信じさせてくれ。別に何か証拠を集めてこいとか、誰か承認を連れてこい、なんて話じゃないんだ。僕は、ただ君の誠意を見たいんだよ。

 頼むよ、僕は、君の親友だろ。君がどれだけ否定したって、僕は君の一部だし、君のためだったら、この腕だって、この脚だって、この耳だって眼球だって、どんなものだってあげるんだ。

 頼むよ、だからあと一ミリ、あと、少しだけ。本当に少しだけでいいんだ。

 君を信じたいんだ。

 愛したいんだ。

 恋したいんだよ。

 いいかい、君は僕に愛されることで幸せになれるんだ。これは間違いないんだよ。多くの人が僕に愛されないこと不幸になっていったんだ。どんな人間だって、子どもだって、大人だって、僕に愛されないことで、自分の人生を呪ったんだ。生きながらに地獄を歩いているような感覚であると語った人もいる。

 分かるかい。

 いや。

 分かるだろう。

 いや、違うな。

 分かるべきなんだよ。僕が説明しなくたって君が本能で理解するべき事柄なんだ。

 君は全く分かっていない。分かっていないよ。僕がここにいて、君のためにこれだけ大きな声で言葉を紡いで説明をしていることの意味を理解できていない。

 分かれよ、そろそろ。

 なあっ。

 分かれってっ。

 いいかいっ、僕は優しい人間なんだっ、君みたいな者にも優しくできるし、優しいってことがどういうことなのかもちゃんと理解できてる。優しいという言葉を調べれば僕のことを示しているくらいに、僕は優しいんだ。僕はね、動物を助けたことがあるんだ。ボランティアが趣味で、学校の先生からの評価も高いんだ。君よりも何人も友達がいて、君よりも多くの親友に囲まれて生きているんだ。君みたいな人間はね、いいかい、君みたいな人間はね、僕に愛されること、僕に信じてもらえることを生業にするのが必然なんだよ。

 分かったね。

 いいかい、何度も言うし、これからも言うけれども。

 僕に信じさせてくれるね。

 いいね、僕のために、僕の君を信じたいという気持ちのために、君は自分の命を使うことをここに宣言してくれるよね。ここに誓う。そうだね。

 そうだよね。

 ねぇ。

 そうだよねっ。

 なんなんだよっ。

 なんなんだよっ、お前はっ。

 ふざけんなよっ、はっきりしろよっ。

 お前のためにっ、僕がっ、どれだけの時間を無駄にして話しかけてるのか分かってるのかよっ。もう、一分じゃきかないぞっ、二分も三分も、四分もっ、五分もっ、六分もっ、十分もっ、十五分もっ、それ以上かかってるっ。

 いいから、俺に信じさせてみせろよっ。

 お前のことだぞっ。

 お前がここにい続けることの意味を聞いてるんだぞっ。

 僕がっ、お前の命に許可を出してやるんだから有難く思えよっ、有難うとか言ってみろよっ。

 お前っ、ふざけんなよっ。

 僕が今、どういう気持ちで、話をしてるとか分かってるんだろうなっ。

 恥だよ、恥。

 お前ごときにここまで時間を使わされた、この事実が恥なんだよっ。

 お前の存在が恥なんだよっ。

 僕に信じて欲しいだろっ、僕に信じてもらいたいって言えよっ。

 お前っ。

 僕をバカにしてるんだろっ。

 

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