第13話
翌日・教室
ふわぁ、寝みぃ。思いの外ゲームが盛り上がってしまった。(当然ソロだ)
まぁ、テスト期間中に勉強せずにゲームするなんて僕ぐらいだろう。もしくはテストに対して死期を悟った奴ぐらいか。
「おう辰巳。おはよう」
「ああ、おはよう」
「眠そうだが一夜漬けか?」
「うんにゃ。ゲームだ。ハンターしてると時間があっという間にな」
「ゲームかよ!……お前って中々大物だよな…」
「たかだかゲームしてたぐらいで何言ってるんだ」
そんな事で人を大物扱いする方が大物だと思う。
「おはよう鷹宮君」
「あっおはよう。葵さ…」
「いや〜眠いね〜」
うわっ!徹夜丸わかりだし髪も歪んだサイドテールになってる。
「一瞬誰かと思った…」
「ひどい〜!」
テンションも変だ…
なんかちょっと怖い。
「一夜漬けなんかするからだろ」
「だって直前じゃないとやる気でないんだもん」
「お…おはよ」
この声は鈴宮か。いつもならもうちょっと早く来てるのに珍しいな。
「ああ、鈴宮…⁉︎」
「葵は玲香をもう少し見習えよな〜。いつも万全でテスト直前でも常に余裕だしな。……って アレッ⁉︎」
今日の鈴宮は徹夜感全開だ。あの鋭い目つきがクマ付きでギラついて見える。
「あ〜。鈴も徹夜〜?」
「気付いたら朝になっててね」
「いつにも増して人相が悪いな…」
思わずボソッと口にでてしまう。
「失礼な」
ギンッ‼︎‼︎ 睨み付ける発動‼︎
「ピィッッ‼︎」
怖えぇ‼︎怖すぎんだろ!徹夜効果で割増だよ!
あの鈴宮が徹夜してくるとは、それだけ本気という事か?
鈴宮の以外なヤンチャ振りを知る以上何をお願いされるかわかったものじゃない、少し真面目にやろう。
僕はそう決意してテストに挑む。
テスト期間中は午前のみのためあっという間に終わった。
現在教室はかなりザワついている、原因は鈴宮だ。あの人相に殺気を放っているかのような機嫌の悪さ、ただの寝不足によるものだがそれを知らない周りからは囁き声が飛び交っている。
「辰巳‼︎任せたぜ‼︎」
仲間を死地に置いてく勇者みたいに去って行きやがった。
「鷹宮君。ファイッ〜」
最初っから期待してない
今日のところはさっさと帰らせて寝かせるべきだろう。
「鈴宮…帰ろう」
「まだ昼前だから…一緒に…ご飯食べよう…」
若干片言だし寝た方がいいのでは?
「食べたら…すぐに帰るから、ダメ?」
ヤバッ!ズギュンて来た‼︎
…負けてしまった僕は今マックに来ている。
バーガーもポテトも旨い。2人で来ているはずなのに今のところほとんど僕1人だけが食べている。
フラフラながら鈴宮はやって来たがもう限界が近いらしくポテトを口元に運んだまま固まって目も半開きだ。
あっ。ついに指先からポテトが落ちた。
「鈴宮…大丈夫か?」
「うん…食べてる…食べてるよ…」
駄目っぽいな。
なんとなくポテトを彼女の口に当てるとモシャモシャと咀嚼し始めた。ハムスターみたい。
「辰巳…目…きれい…ちょうだい」
ちょうだい?目を⁉︎猟奇的すぎんだろ!
もしかしてテスト負けてたら目を取られるかも知れんのか?最近距離が縮まった気がしていたが急に遠ざかった。
「辰巳ぃ〜」
そのまま突っ伏して寝てしまった。
いや、ここで寝ないで?
揺すって起こす事を試みる。
「起きろ鈴宮。家でやる事とかあるだろ」
「アラーム…セットしたから大丈夫…Zzz」
マジで寝てしまった。
はぁ、結局鈴宮ほぼ全部残してるし。もう一セット香澄ちゃん用に持ち帰りにして鈴宮のも一緒に袋に詰める。最悪そのまま晩ご飯にでもするでしょ。
荷物の関係もあり僕は鈴宮をおんぶして帰ることになった。
すれ違う人からの生暖かい視線がすごく恥ずかしかった。
翌日・教室
爽やかな朝。決してこちらに顔を向けない鈴宮。耳が超赤いところを見ると昨日の記憶があるらしい。
まぁ、そらぁ人の眼球が欲しいなんて恥ずかしくて顔向けできんよな。
昨日と違って真面目にやる必要もない分お遊びでテストの点を70程になるよう調節する。
テストも終わりHRに移る。
「皆テストお疲れー!進路調査のプリントを配ります!」
「来週までに書いてくるように‼︎すぐに体育祭も始まるので気を緩ませすぎないように!」
進路か…とりあえず進学だな。体育祭はどうでもいい。
いま皆で食堂に集まっている。開放されてるだけで食堂自体はやってないので人はいない。
「皆テストお疲れー!」
テストから開放されたせいか葵さんのテンションが高い。
「てかお前ら進路考えてる?ちょっと早い気がするけども」
「私は進学かな」
「僕も進学だ」
「私はな〜んにも決めてないよ」
まぁ、いまはそんなもんだよな。
「てか私食堂くるの久しぶり!」
「俺はよく来るぜ」
「私達いつも教室で食べるからねぇ。今度から皆で来ようよ」
「おお!いいなそれ!来年からは皆クラス別れるだろうしな!」
そっか、理系と文系でクラスが別れるのか。そうなると今という瞬間を噛み締めていこう。
僕はそう思った。
「うあー!いやだー!寂しい!」
「大丈夫よ。また今日みたいに集まって皆でカラオケとか遊びに行きましょ」
「そうだな。やりたい事ノートに纏めようぜ」
「女の子みたいな事するな」
「ほっとけ。ほらどんどんいってみろ」
「はいはーい!私皆とお泊まり行きたーい!」
「私はBBQに夏祭り」
皆がいろいろ案をだしていく。
これならきっと来年は寂しさなんて感じる事なく楽しくなるだろう。
「すごい量集まったね。これ卒業までにやり尽くせるかな?」
「う〜ん、厳しそう」
「卒業してからだともっと厳しそうだね。皆違う道違う時間を過ごす事になるだろうし。」
「別に大丈夫だろ。皆で予定合わせて集まれば良い。そうすりゃあ違う時間だとしても皆と過ごす時間は一緒だろ。」
「おお!司今のはカッコ良かったぞ」
「照れるだろ。ヤメロヨ」
「爺さんになった時は一緒の老人会で遊ぼうな」
「それは嫌だ」
夏休みには祭りに合宿か、今年の夏は忙しくなりそうだな。
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