ヴァンパイア・ホームズの日常

時遡 セツナ(トキサカ セツナ)

1

イギリス・ロンドンから少し離れたところだった。

小さな町クロックス・タウン。

この町外れにある森の中に一件大きな屋敷があった。

昔、金持ちが住んでいたと言われているが今となっては廃墟となり、夜になればお化け屋敷又は魔女の屋敷と呼ばれるほどの恐ろしい姿があった。

その為誰も廃墟になって以来この屋敷に入って者はいないという。





雷雨が激しい夜だった。

強い雨は、窓を打ちつけ風はヒューヒューと唸っていた。

ある屋敷の中で2人の人物は睨み合いをしていた。

1人は、青年で金髪に青い目。

ついさっきまで外にいたのか服はずぶ濡れだった。

もう1人は、大人で彼も金髪で黒い目、肌は死人のように白かった。


「オレは、アンタの協力なんかしたくねぇ!!」


青年は言った。


「そう堅いこと言わないでくれたまえ。実際君がここに来たというのは、協力の意思があると私は見るのだがね。」

「アンタがここを住処にしているのを知ってたら来ねぇ!」


青年は反発した。

そして、足元にあるあるモノを手に取った。


「利用されるぐらいなら、殺してやる!」


青年は、それを男に向けた。

それは、木製の杭だった。


「落ち着きたまえ。協力について前も言っただろう。私は“血”を求めている。ただの血じゃない。この世にはかの賢者の石に匹敵するほどの力を持つ血を持った美女が必ずいる。それを君に探して欲しいのだ。優秀な探偵である君にね。」


男は、そういうと笑みを浮かべた。


「嫌だ!」


青年は、杭を構えて男に突進した。

しかし、男は見事にかわし青年は足を引っ掛けられその場に倒れてしまった。


「無駄な抵抗はよくないのは君も知っているだろう?・・・」


男は、手を青年の顔へ伸ばした。


「やめろ、やめろ、やめろぉぉおおおぉ!!!」


青年の叫びは、雨と雷でかき消された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る