十二月二十七日 童話劇ピーターパンが初演された日
カクヨムに身を置く以上、無視をしてはいけない日、その二十。
おそらく知らない人はいないであろう、空を自由に飛び回ることができる永遠の少年「ピーターパン」——童話作家にして劇作家でもあるサー・ジェームズ・M・バリー
実に今からおよそ百十年以上前の話になる。
何度か加筆修正を加えられている原作ピーターパンだが、時系列を追うとざっくりと四作品あったりする。
世界的に有名な夢の国シリーズで登場したストーリーはがっつりとピーターが主役を張る四作目にあたる「ピーターパンとウェンディ(一九一一年)」が元になっている。
そしてイギリス児童文学あるある——童話といいながら設定が無邪気にえげつない。
首吊りの木をナワバリにしているロストボーイズのリーダーとして自由気ままにボスってるピーター……作中にも不穏な意味深ワードが並ぶ。
書いて字の如くロストボーイズ=いわゆる迷子の子供たちには親がいない。
そして、おとぎの国として登場するネバーランドには海賊などの一部を除いて大人がいない——。
なぜなら、子供たちに成長の兆しがあるとピーター直々に手を下してしまうから。夢の国映画ではボカされた部分が、原作ではスパッと書いてある。
そして、そもそも何でピーターは歳を取らないのか、空を自由に飛べるのかという根幹にあたる部分を書いてあるのが初期作である「小さな白い鳥(一九〇二年)」なのだが、この作品ではピーターは主役ではなくその他大勢の一人として登場している。
この作品から派生してピーター登場回を抜き出して書き直したものが童話劇として書き下ろした「ピーターパン(一九〇四年)」であり、同時進行で執筆したのが「ケンジントン公園のピーターパン(一九〇六年)」というわけだ。
ネタバレになるので核の部分には触れられないのだが、ピーターにだって赤ん坊だった頃がある。
幼少期に見舞った不慮の出来事が原因で
そして、それを知ると後続作品に登場するロストボーイズの背景にある闇までが透けて見えてくる……。
なぜ子供たちが動物を模した格好をしていたのか、なぜピーターが鳥の鳴き真似をするのかも、前身作「小さな白い鳥」に立ち返ると理解できるという構成だ。
(イギリスのファンタジー、たいてい足元闇が深い。あるある探検隊♪)
不朽の名作であることに変わりはないが、イギリス人が描くファンタジー作品は得手して根幹にピリッとした闇を抱えた上で児童文学として成立させるから凄いといつも思う。
(間違ってもアメコミヒーロー的力技ハッピーエンド展開にはならないから好き嫌いが分かれるところ)
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