十月十八日 世界メノポーズデー

 メノポーズ。

 聞きなれない言葉だが、更年期による閉経を指す言葉だ。(主に女性を指して)「更年期の日」という意味合いで捉えたら良いかと思う。


 平成十一年(一九九九年)、第九回国際閉経学会で国際デーの一つとして制定された。制定の目的は、高齢化社会に向けて「更年期の健康に関わる情報を世界に提供する」とある。

 一般社団法人 日本女性医学学会によると、国際デーの制定を受けて二〇〇七年より、正しい更年期の諸症状と対処等の認知と普及活動を続けているそうだ。


 ひとまず、メノポーズの定義を確認しておく。

 基本的に十二ヶ月月経がない状態が前提となり、永久的に月経が止まることをさす。総合的に「後から診断」で状況証拠をもとに閉経と扱われるため、非常にふわっとしている。

 一応、閉経の引き金となる女性ホルモン「エストロゲン」の著しい低下(あるいは欠乏)が判断材料の一つとなる。

 緩やかに減少ではなく、ある時期を境(およそ四〇代半ばから五〇代半ば)に急激に減るため、当然心身に現れる変化も大きい。だいたい、閉経の前後五年あたりが統計的にもっとも諸症状が重い時期とされている。


 身体的には、火照り、冷え、動悸息切れ、めまい、頭痛、吐き気、肩こり、腰痛、関節痛、頻尿、性交痛等が代表的だ。

 精神的には、イライラ、憂鬱、もやもや、睡眠不足等一喜一憂が大きくなる傾向にある。そこに対人関係や仕事環境など社会的要因も関わってくると、尋常でない倦怠感や疲労感など諸症状はさらに複雑さを増していく。


 個人差が大きいので一概に診断の線引きができないあたりも非常にデリケートな問題なのだが、共通するのは、これら諸症状をざっくりと「更年期症状」と呼び、症状が日常生活に著しい影響を及ぼすレベルを「更年期障害」と定義している。


 元々エストロゲンは心身のバランスと健康を保つのに重要な役割を果たしているホルモンであるため、これが減少すると漏れなく生活習慣病などのリスクが増し増しになる。

 人によっては脳梗塞、心筋梗塞、骨粗鬆症の進行など時に生死に直結する健康リスクを抱えることになるため、ケアが大事なんだよ——という話になるわけだ。

 とはいえ、正直、特効薬があるわけではない。

 欠乏ホルモンを補う補充療法、漢方の処方などもあるにはあるが、どちらかというと、重い症状を少しでも軽くといった緩和ケアの側面が強い。


 前出の日本女性医学学会でも、平たく掻い摘むと「よく食べて、よく動いて、よく寝る」という小学生が習うような基本的生活習慣の奨励というまとめが最後に出てくるくらいだ。

 避けては通れない加齢の道……どうやら、心構えを持って受け止めるしかなさそうだ。本日のところは、己を顧みて労ることにしようか。

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