九月四日 KIX開港日

 関西国際空港カンサイ・インターナショナル・エアポート、略してKIXキックスが大阪湾の南の端の方で営業を開始したのは、平成六年(一九九四年)九月四日、日付が変わった深夜零時ジャストからだ。

 国内初の海上埋め立て空港であり、国内初の二十四時間体制で稼働という非常にコンビニエンスな空港として誕生した。Kansai International Airport ——略してKIX。


 いや、最後のエックスって何やねん。


 空港の略式表記は国際航空運送協会(IATA)によって定められているわけだが、関空ができた時にはKIA表記は既にカイアピット空港(パプアニューギニア)が使用していたため、後発の関空は「余っていたアルファベット」の中から選ぶしかなかった。


 そうかぁ、エックス余っとったんかぁ……。


 なぜエックスを選んだのかは定かではないが、一関西人イチ・ネイティブとして思うことがある。

 すなわち、「Aなかったわぁ。あかんかったわぁ。ほな、バッテン(X)にしとこか」というノリは大事だ。(あくまでも個人の妄想)


 そんなわけで、関西国際ポート略して「KIX」となったわけである。

 そんな経緯だったら面白いなと思ってしまうのだが、実際は真面目に決めたのだろう。


 それはさておき、大阪湾は元々豊かな漁場だった海だ。そんなところにデデーンと埋め立て地を作るわけだから、色々揉めた。

 地盤改良から始めなければならないし、関空は初期コストから稼働コストまでとにかくカネがかかる。(空港使用料の高さを何とかしてくれ! 心の叫び)


 しかし一方で、一応環境にも配慮していますという姿勢は見せている。沿岸部は海藻やら何やらを育てて、海洋生物の住処を提供しているそうだ。関空公式サイトによれば、ウミガメやスナメリも寄ってくることがあるらしい。


 また、滑走路よりも長い連絡橋が輸送手段の生命線となる関空は、火災対策にも力を入れている。国内では唯一と言って良い空港用化学消防車やターミナルビル内には高い位置からの放水銃を完備しているのだが、その物々しさたるやター◯ネーターを彷彿とさせる近未来感だ。


 元々、大阪国際空港(通称、伊丹空港)のキャパオーバーと同空港周辺が宅地開発されたことで発生した騒音問題(上空スレスレ飛行および住宅地のど真ん中に離着陸するという、パイロットに過度のプレッシャーを与える空港になってしまった)を解消する目的で誕生したKIXなのだが、さらになぜか目と鼻の先に神戸空港までが追加されたことで、大阪湾一帯は日本で最も危険な航空機過密空帯になってしまった……。

 ばっくりとした地域住民として、事故が起こらないことを祈るばかりだ。

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