八月二十九日 日本最古の「お金」が発行された日

 日本で初めて誕生した流通硬貨を「和同開珎わどうかいちん」という。

 何となく小学校の時の社会科や、中学に入ってからの地理歴史あたりで聞いた気がする人も多いと思う。


 和同開珎は、時の帝、第四十三代元明天皇のころ(六月既出の天智天皇の娘。「春過ぎて夏来にけらし白妙の——」でお馴染み持統天皇とは従姉妹であり異母姉妹であり嫁姑でもあるという続柄。ややこしい!)、和銅元年(七〇八年)八月二十九日に発行されたメイド・イン・ジャパンの銭貨である。


 直径およそ二十四ミリ、中央部分に約七ミリ程の四角い穴が空いている和銅ニギアカガネ製の銅銭だ。

 これを記念して元号も「和銅」に改められた。

 初のメイド・イン・ジャパン通貨ではあるが、モデルにしたのはお隣中国(唐)の通貨「開元通宝」だ。表に刻印されている字体まで真似ているという。


 さて、日本最古と記したが、硬貨の発行そのものは、実は「銀銭」が先のようである。

 ただしこれについては私鋳(民間で鋳造されていた非公式銭)の無文銀銭であるため、これに置き換えるべく公式通貨「和同開珎」の鋳造が進められたそうだ。以後、入れ替わりに銀銭は廃止されている。


 オフィシャル硬貨である「和同開珎」だが、初期型と量産型の二種類が存在しているそうだ。それぞれ初期型(試作品?)を「古和同」、安定した品質の量産型を「新和同」と区別しているようなので、古銭収集の際は気を付けておくべき点と言える。和同開珎は贋作も多いらしい。

 銅の含有量、硬貨の厚み、刻印などに明確なばらつきがあるそうなので、見る人が見たらすぐ分かるそうだ(ふーん)


 全国的には物々交換がまだまだ主流だった時代だ。

 通貨の流通はもっぱら畿内に限られていたそうだが、原料となる銅については長門国や周防国(現、山口県)などから採掘、運搬されていたと「続日本記」に残されている。

 また、武蔵国秩父一帯、和銅遺跡から純度の高い和銅が産出されているそうだから、「公式通貨やりまっせ」という空気感は全国に伝播していたのではないかと思う。知らんけど。

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