八月十六日 五山の送り火

 お盆のクライマックス行事、送り火。

 日本全国で月遅れの盆を取り入れている自治体は多いが、畿内で最も有名な送り火といえば、真っ先に思い浮かぶのは京都五山の送り火だろう。


 毎年、午後八時に東山大文字から点火が始まり、続いて妙・法の点火、舟形の点火、左大文字の点火、そして最後に鳥居形に点火し、お精霊しょらいさんを送り出す。

 それぞれの字には管轄する地元の檀家が存在し、秒単位の段取りで伝統行事を支えているのである。


 昨今、観光の目玉として脚光を浴びているが歴とした宗教行事だ。無闇やたらと押しかけて騒ぐものではない。(と言いつつ、コロナ前は他府県からそっと足を運んで納涼していた私だ。偉そうなことは言えない……すまそ)

 さて、この送り火だが元は松明を掲げてお精霊さんを見送っていたそうだが、いつから始めたのかは定かではないそうだ。一説によると、きっかけは弘法大師だというが、京都市公式でも明言は避けている。


「仏教が庶民に浸透した中世から室町くらいちゃいますやろか、知りまへんけど(何ぶん、古い話やし)」

 という、京都あるある的含み表現で紹介している。


 興味深いのは、送り火の文字は五つ以上あった時代があるそうだ。

 江戸の頃には「い形」「イチ形」「竿の先に鈴」「蛇」「長刀」を加えて全部で十字あったという。

 特に「い形」は最大規模の送り火だったそうだが、明治に入り廃れていったらしい。二〇一八年には京大霊長類研究所の現地調査によって、場所の特定が進められ伝承資料等を含めて追跡調査が続いているようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る