七月十七日 東京の日
東京オリンピック開催まで残すところあと一週間ばかりとなったが、およそ百五十年あまり遡った今日、明治天皇直々の公式文書によって「江戸」が「東京」に改められた。
この頃、天皇領のあった京都が日本の中心だと思想的にも浸透していたものだから、遷都を行わない代わりに「東の京都」というニュアンスを盛り込んだ形だ。(京都の人が、「ほれ、みなはれ」と鼻高々する様子が目に浮かぶ)
もっとも、厳密に「首都」を定義する法令は、こんにちまで日本には存在していない。明治天皇の号令で「江戸の呼称を改めた」だけである。
近年、大阪が「都構想」を打ち出して府民に失笑を買ったことは記憶に新しいが、法令上「首都」が定められていないので、大阪府民に起草が受け入れられていれば、「みなさーん、東京駆逐する勢いの大阪都でっせ」は理論上可能だったことになる。
(結局リベンジマッチも敗北したので、大阪府民はポスト首都には興味なかったということだろう。都の予算は地方自治体では太刀打ちできない規模の、そこそこ他所様の国家予算レベル=要するにレベチなのだが、大阪には時期尚早だったようだ。
頑張れ、そのうち——と言っている間に、愛知や福岡あたりが第二の東京ポジションでメキメキ伸びそうな気がする)
それはさておき、「東京」も初めは「東京府」であった。
それが明治二十二年に「東京市」となり、「東京都」となったのは昭和十八年(一九四三年)——太平洋戦争真っ只中の頃である。案外、最近の話なのだ。
何はともあれ、江戸幕府が開かれてから長らく、日本の「政治経済の中心地」を担ってきた実績は実績として評価されているからこそ、法令こそなくても日本の首都=東京という構図は今や世界的にも常識という共通認識が成り立っているというわけである。
(東京土産といえば東京ばな奈と答える友人が私の周りには比較的多いのだが、私は俄然ひよこ饅頭派である)
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