六月十日 時の記念日

 国民の祝日ではないが、日本の記念日の一つ。

 日本書紀によれば、日本で初めて「時計」を導入した日であるそうだ。天智天皇の時代とされている(斉明天皇の時代説もある)。ざっくりと今から千三百年〜千四百年くらい前と認識しておく。


 当時「時計」と呼ばれていたのは、いわゆる水時計だ。水を垂らして一定量貯まると鐘を打つというシステムだったらしい。

 実際、奈良の明日香村には時計にまつわる興味深い遺跡が発見されている。飛鳥川の東岸、ゆるっと飛鳥寺の西側に位置する水落みずおち遺跡がそれとされている。


 およそ十一メートル四方、大型正方形の遺構と基壇、水を通す銅管や貯水用と思われる木製漆箱などを備えた巨大な施設だ。水を基壇まで汲み上げ、一定間隔で漆箱に向かって水を流し、溜まった水量で時間を測って鐘を打つという非常にシステマティックな構造を持っていたようである。

 この時代に、既に自然任せではない人為的な「時間」という概念が存在していたことに驚かされる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る