　宝徳（ほうとく）四年（一四五二年）、日本では目下、室町時代。

　足利（あしかが）家の八代目の将軍さん、ナチュラルＫＹ（空気読めない）義政（よしまさ）さんが、着々と応仁の乱に向けてラジオ体操をしていた頃の四月十五日。

　この日、イタリア・フィレンツェ（当時はフィレンツェ共和国）にあるヴィンチ村に、一人の男の子が誕生した。

　男の子の名前は、レオナルド・ディ・セル・ピエロ・ダ・ヴィンチくん。長いから、一般的にはレオナルド・ダ・ヴィンチさんで通ってる。

　彼は偉大な画家であり、音楽家であり、建築家であり、料理家であり、数学者であり、解剖学者であり、植物学者であり、動物学者であり、鉱物学者であり、天文学者であり、地質学者であり、航空・自動車・材工・土木・軍事工学者であり、多才すぎて、もはや変態の域に達している、ルネサンス期を代表する天才芸術家である。

　現在のヘリコプターの原型は、彼が一五〇五年、アラフィフの時に概念図を起こしていたというから、筋金入りの変態（最上級の褒め言葉）だ。