転がる箱


なんなんだろう、この箱。


とある変死体のあった部屋に置いてあったという木製の古ぼけた正四面体の箱には不思議な力を含んでるようだった。


とりあえず、無数の針で貫かれたような変死体の死因究明に役立つとは思えなかったが、ほかに部屋に異常はなく、唯一の異常な物があるとしたらこの箱であった。


箱は開けられず、中をX線で確認したところなんらかの動物の首を干したものが入っているらしかった。


しかし、どうやっても開かないので、今度はレーザーで焼き切ろうかという話まで出ているが、研究者の立場で無闇に傷つけるのはどうかと進言し先送りになった。


なんらかの、手順さえ踏めば開くカラクリがあるのかも知れない。


気になると没頭するタイプのわたしは、科捜研の所長の目を盗んで家に箱を持って帰ってしまった。


家に帰ると、大好きな異世界もののラノベが所狭しと本棚に並んでいる。


科捜研でラノベ好きっていう人はあまり居ないので誰にも言ってない密かな楽しみだ。


ベッドに入りながらもなんとか開かないか試行錯誤したが一向に開かない箱を抱えながら眠たい頭でなんの気なく


「あーぁ、俺も信じがたい程の強さで異世界無双しないかなぁ」


と呟いた。


その時、箱からゴトリと音がした様な気がした。


「へ?」


よく見ると箱が少し空いている。


「や、やった、、、」


そう言って起きあがろうとしながら何故か意識が遠のいていった。


中に入ってる何者かと目があった気がした。




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