【27時間目】魔王様、全員集合のお時間です‼︎


「いや、それ、童◯やないかーーい!!」



「ちょ!躑躅森!なんて事大声で言ってんのよ!」



水原さんの制止の肘打ちエルボーも、さっき僕がバカみたい考察した無駄、かつ、めちゃ恥ずかしいカッコつけシーンに比べたら痛みも感じないものだ。


とりあえず今はもう、一刻も早く羞恥しゅうちとか痛みとか──全部ひっくるめて発散しなければ……僕はもう生きていけない。


いや、なんならいっそのこと今ここで殺してくれ………!!


「道程?高村 光太郎か?」と(さすがの知識だね)無邪気な顔でたずねてくる生徒会長をシリ目に僕は情けなく平日の公園で発狂する。

はたからみたら「hey!ポリスメン」といった状況だろうか────いや、なんならまだ殺されるよりかは捕まりたい。捕まって、証言台に立ち、裁判長に向かって僕の懺悔ざんげと反省の弁を述べた後にキツく、それはもう本当にキツく僕を断罪してほしい。



「躑躅森………あんた……気持ちは分かるけどそこまで………」



やめてくれ、水原さん。

今はもう何人たりとも僕の"発  狂クレイジームーブ"を止めることはできないのだ。

例えるならダミーシ◯テムを使われてア◯カを己の手でちゅうしてしまったシ◯ジくんのように止まらない──否、止まれないのだ。



荒ぶる僕、それを傍観ぼうかんする水原さん、相変わらず"どうてい"の着地点を探している生徒会長という謎のトライアングルが出来て数分経ったところでついに待ちびた助け船である聖良がやって…………。


ん?あれなんか人多くなぁい?

そんなドラ◯エのパーティみたいに律儀に一列に並んで来なくたっていいのに……じゃなくてええ!?なんでみんな来ちゃったの!?集団遁走とんそうかなにか!?


あ。


聖良率いる(能力的な話でいけば理想的な)パーティのちょうど中腹あたり───若干泥まみれになっている種田さんを見て僕は全てを思い出した。

自然とついさっき、だけどずいぶん前に感じられる二葉亭 逸華会計・書記の言葉がよみがえってくる。



(ホオズキクラスの皆さんは私が戻るまで休憩なさってください)



──そういえば僕、休憩中だったわ。


そりゃあ休憩中にちょっと周り見てくるわって言って出かけたきり全く戻ってこなかったらすんげぇ心配するよね……。

うん。分かる。よくおじいちゃんとかがそれで50kmぐらい離れた場所で見つかったりするからね。

家族は心配になるよね。まあ彼女たちは家族ではないけど………。



「あれみんなまさか失踪しっそうした僕を探しにきてくれたの?」



単純な質問を目の前の聖良にぶつけてみる。

僕の急な変わり身に(何も言えず)だんまりを決め込んでいた水原さんの顔がみるみるうちに驚きの表情に変わる。

どうやら今度は水原さんが僕の世界のスピードについてこれてないようだ(生徒会長はもう切り替えて聖良が率いてきた生徒会のメンバーと和気あいあいと話し合っている。さすがだね!)


やったぜ!!



「当たり前です。急に逢魔様がいなくなった、と皆さんに言われたものですから……てっきりキ◯ラのつばさでも使ったんじゃないかって噂してましたよ」



「そうだね。僕はさっきまでそれで故郷メイベルに帰りたかったよ。まあそれはおいといて……」



僕はさくっと聖良に今の今までの展開をかいつまんで話した。

その間に水原さんは(いろんな意味で)ショックから回復したらしく集ったメンバーから一つ一つ話を聞いて回っていた。

僕としても坂口さんと天野さんとへんt…副会長との戦いの行方を知りたいとこであるが……。



「なるほど。つまり生徒会長が能力持ちだと言うことは分かっていた上で"魔法"の存在を知っており、もしかすると私たちから力を奪った張本人ではないかと疑ってかかったがその実、童◯の話をみんなで楽しくしていたと……」



「いやまあたしかに認識としてはそれで合ってるけどね………」



「さてと」と僕は今までの茶番を無かったことにするためにさくっと持っていた空かんをゴミ箱に入れると集った(というよりも集ってしまった)人々に「それじゃあもう戻りましょうか」と声をかけた。


まあもちろん、生徒会長とそのメンバー、水原さんはまだまだ仕事があるらしく残らなければならないとのことで、反対に僕は特に生徒会長に詰問きつもんされることなく解放されると学校に帰るためみんなの歩調に合わせた。


意外とマジメに掃除をやってたのかそれぞれのジャージに汚れが目立つ。


あ、これいっちゃん僕が掃除やってないやつじゃん。

なんかごめぇん。


心中誰に向けたのかも分からない謝罪を済ませると今度は聖良が僕の方によってきて静かに耳打ちをしてきた。



「逢魔様。実はさきほど判明したことなのですが………」



やけに意味深な間を置く聖良に変な動悸どうきがおこる。

こういう時の聖良はだいたい凶報しか言ってこないからだ。


僕は一旦某サッカー選手のように心を整えると再び聖良の方に向き合い耳をました。


さて、一体どんなことが………



「………え?副会長と会計・書記が能力持ちだった?………え?」



☆え………?────────



───────────────────────


【登場人物紹介】


●躑躅森 逢魔


魔王の息子で主人公。

もはや主人公と言っていいのか分からないほど奇行を繰り返しているがギャグコメなので許してあげて欲しい。それに思春期だしね……!



●躑躅森 聖良


逢魔の幼馴染でお付きのメイドさん。

大勢引き連れたパーティを作っていたがポジション的には勇者な人。いいのか魔族。

それはそうとちゃっかり能力持ちの人を見つけてくる有能。



●水原 さくら子


2人目の能力持ちツンデレ貧相クラス委員少女。

今回はほぼなんもしてない。というよりもなにもできなかった。ツッコミとしてのキャパを超えてしまったのか……。早い復帰が好まれる。



●その他パーティの皆さん


メンバーは二葉亭姉妹、坂口 杏子、奈賀井 風花、種田 冬火。

二葉亭姉妹は一旦度外視して考えたら杏子は戦士、風花は遊び人、冬火が僧侶と言ったところか。

まあ1人勇者になりたがってる人がいるけどね。



●ア◯カ


みなさんおなじみエヴァ◯ゲリヲンの正ヒロイン。

劇場版のプラグスーツのシーンは何度見てもその手のニッチな人が描いたとしか思えないほど精巧(意味深)。

え?正ヒロインは綾◯?またまたぁ……ア◯カが正ヒロインなのは映画からして当然ですよ。

え?シン?知りませんね……。



●シ◯ジくん


普通の中学生だったのに(変態な)父親のせいで世界を守る宿命を背負うハメに。

映画とか見てるとシ◯ジくんにイラつくとか言ってる人いるけど多分中学生であんな自分の生死どころか世界の運命背負ってるなんてなったら拗ねるぐらいじゃ済まないと思う。



●高村 光太郎


明治から昭和にかけての詩人・彫刻家。

みなさんも一度は『道程』という詩を教科書で見かけただろう。そしてその言葉の響きにドキドキしただろう。安心して欲しい。みんなするから……。


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