【20時間目】魔王様、スカンクって動物居ますよねのお時間です‼︎


「それについては私から話しまshow」



聖良がすっと立ち上がり、それと同時に僕は座った。

すっかり冷めたポテト(ポテトって冷めるとびっくりするぐらいマズくなるよね)を口に運びつつ僕は聖良の次の言葉を注視ちゅうしした。

ここからは僕ではなく、聖良が説明をするからだ。

何故なら───



「あぁ、躑躅森が話すんじゃないのね。それにshowって……あんたたち実はさほど切迫せっぱくした状況じゃないでしょ」



「まあ僕その場にいなかったからね………」



「あんなにシリアスな口ぶりで話のさわりしゃべってたけど知らないの!?あなた当事者中の当事者でしょ!?どういう感情か原稿用紙4枚分ぐらいで教えてほしいわよ!!」



と、いう訳なのだ。

まあどちらにせよ僕説明下手だし。

あとツッコミ役も水原さんに上手いことシフトしたようだしこっから僕は冷めたハンバーガーと冷めたポテトをさかな惰眠だみんむさぼr…脳を休めながら聞こうかな。


なんにせよ、頼れるべきは幼馴染美少女メイドですよね。



「あれは今から41年前…魔王城において行われた前魔王様、つまりは逢魔様の御父上と勇者による密談のとき───」



「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!41年前って!!私たち産まれてないじゃない!!あんたたち何歳なのよ!?」



「んー、あー、ごめん。メイベル、僕らがいた世界とここでは流れる時間に大きな差異さいがあるらしいんだよね。だから実は僕たち本当は16歳じゃなくて……」



「10656歳ですよ。私たち」



「じ、じじいとばばあじゃないか……!!我が盟友たちは片足棺桶かんおけに突っ込んでる老人だったのか……!?」



「感じデーモン◯暮だよね、ジッサイ」



いや久しぶりに喋った(れた)と思ったらとんでもない爆弾発言だよこの子は。

それと奈賀井さんそれはあかんて。蝋人形もうにんぎょうにされちゃうから。

まあこの世界の人間からしたらとんでもなくお年を召してる方に思われて仕方ないとは思うけどさ、時間の流れが違うって今説明したばっかだよね?あといちいちツッコミ入れられると説明できないから!ほらもうさわりだけで1000文字近く使ってるから!てか僕の独白どくはくも要らないよねこれ!?これがいっちゃん無駄だって世論も────



「続けます。前魔王様と勇者の密談──私もその会話を聞けるほどの身分ではないので内容までは知り得ませんが────その密談の最中、大きな爆発音──なんと言い表せば良いでしょうか。まるで時限爆弾があらかじめ設置されており、それが起爆したかのような唐突とうとつに、それでいて鼓膜こまくが破れるぐらいの大きな音が部屋の中から聴こえてきて────」



そうだ。


あの日、聖良は僕の側を離れて(僕は公務で違うところに行っていた)父上と勇者の密談のボディーガードをしていた。

それで聞いた話では急に部屋の中で聞いたこともないような、不吉な予感が身体の隅々すみずみまで駆け巡るような爆発音が聴こえ、慌てて中に入ったら─────



「前魔王の力……『固有魔法ミラ・マギア』だっけ?…がられていたわけね……」



「いえ、その爆発音は魔王様の放屁ほうひした音でした」



「いや大事な話するってんのにそんなおっきいおならするって……一体何食べたのよ!?最悪じゃないあんたのお父さん!!魔王辞めて正解だわ!!」



「はっはっは!!豪快ごうかいで何よりだな!」



そう父上の屁───ってええ!?

そうだったの!?僕それ初耳なんだけど!?


……まあ僕の事じゃないし、黙っとこ。

沈黙は金て言うしね。



「逢魔様の出物でものの匂いはお父様ゆずりの腐った玉ねぎに納豆と三連勤した中年サラリーマンの靴下みたいな匂いなんですね」



「えぇ!?僕のおならそんなに臭いの!?てかがないでよ人のおなら!!それはそれで聖良もただならぬ変態になっちゃうよ!?諸刃もろはつるぎ戦法でお互いのHP削りあうのやめようよ!?」



「そういえば我が盟友が漏らした時はこの世の終わりだと思ったぞ」と言いながら種田さんが鼻をつまむ。

そういえば僕漏らしてたけどあん時そんな臭かったの!?もうバイオテロじゃんそれ!!僕の腸内はすでに悪玉菌に侵されたバイオハザードが起きてたのかね!?



「実は口臭こうしゅうも同じような───いえ、話が逸れましたね。続けます」



え?ちょっと待って!?

僕の口臭がなに!?なんなの!?ぶっちゃけそっちの方が気になるよ!!



「私が放屁の音に驚き、部屋に入るとそこには居るはずのない三人目が居ました。……つまり、魔王様のお力を奪った犯人───仮に"A"としましょうか。Aは恐らく転移魔法か、それとも別の超次元的な力か何かで時空の扉を開きメイベルに襲来しゅうらいしたらしく、上半身のみの姿そのままで身体を魔王様に預けるように近寄ると───」



「能力を奪った、って訳?ふふっ。おもしろ」



「いえ、キスしました」



そうそうそのまま─────ってええ!?


キスしたの!?なんで!?あぁそっか!これラブコメだからか!!だからってもう初老近いじじいと意味不明な外来生物女のキスシーンてなんだよ!!

いや逆にそこまでいったら見てみたいわむしろ!!

新手のラブコメだよおい!!



「いやなんでキスしたのよ……え、ってまさかとは思うけど……あんた、その能力の取り戻し方って………」



「ええ。みなさんと恋仲になってキスすることです」



「「「「どえええぇ〜〜〜〜!?」」」」



☆今日から始まるハーレムラブコメ、ここにあり!!─────────



───────────────────────


【登場人物紹介】


●躑躅森 逢魔


魔王の息子で主人公。

今の今まで自分はそんなに"臭わない"人種だと思っていたがそれは周りが気を遣って言わないだけだったという残酷な真実を知る。

そもそも漏らしたやつが臭う臭わないのステージに居るとは思えないが。



●躑躅森 聖良


逢魔の幼馴染でお付きのメイドさん。

実は逢魔はそれほど臭う訳ではないのだが勘違いしてた方が面白いので黙っておく予定。

ちなみに聖良本人はめちゃくちゃ良い匂いがするらしい(逢魔談)。

まあ女の子だからね。



●種田 冬火


一人目の能力持ち厨二コミュ障ぼっち少女。

多分臭い臭わないの話をこのメンツでするならば逢魔の次にあがる事を本人は知らない。

何故かというと友達がいないため、遊びや────いや、これ以上はやめておこう。

何とは言わないけど色々とかわいそうな子。



●水原 さくら子


二人目の能力持ちツンデレの貧相クラス委員少女。

普段から不断ならぬ努力をしているため匂いにも気を遣っている。それゆえおそらく聖良の次に良い匂いがするであろう(逢魔談)。


「ちょ!なに言ってんのよ!しょっぴくわよ!」



●奈賀井 風花


三人目の能力持ち奇想天外奇々怪界自由自在少女。

特に何かつけてる訳ではないくせにいい匂いがする。たまにいるよねそういう女子。多分前世は花だったんだろうね。



●坂口 杏子


四人目の能力持ち筋肉イズパワータイプ少女。

匂いと言えば筋トレとかスポーツとかやってるから「ん?」ていう感じはあるが実はシー◯リーズとかめちゃくちゃ使うタイプなので思った以上に清涼感ある匂いがする。



●デーモン小◯閣下


言わずとしれた悪魔。

随分前に世界征服した。

ちなみに閣下の年齢は10万58歳らしい。


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