ドライワンダーに遣う

ドライワンダーに遣う

前説

　これは物語的な観点からいえば、異世界転生と呼ぶべき噺（はなし）である。

　舞台となる世界（WonDer）の名は、プレセーヌ。

　文系趣味のある若者なら、一度は夢見て描いたであろう純朴でありきたりなファンタジーにひとひねりな設定を加えた世界（WonDer）である。

　この世界（WonDer）に、ある男が前言通り転生してやって来る。

　彼を主人公として、物語は始まる。

　題名は、『ドライワンダーに遣う』。

　専有用語の説明は敢えて省くが、意味は"別物の世界（WonDer）に派遣された"ということ。

　つまりこの題は、先ほど語った物語の始まりを表しきったのみであり、主人公がその後、このプレセーヌ（WonDer）にて何を為し、どう生きていくかは、物語を読み進めることでしか知る事はできない。

　その霞がかった未来に胸をときめかすのか苛立つのかは、読み主たちの自由であるが、少なくともわたしは期待をかけている。

　では、前置きはここまで。

　その男の紹介を軽く済ませたら、彼の物語を始めるとしよう。