2年生編 第81話
充実した1日だった。
これが修学旅行なのか。
皆はこれを楽しみにしていたのだな、修学旅行が学生にとってのビッグイベントな理由がよく分かった。
これほど楽しかったのだな、だったら小中学は無駄にしてしまったな。
佐々木と立花の決着をつけるだけだったのだが、まさか皆が来て、ボウリング大会になってしまうとはな。
しかも、とんでもないほどに盛り上がったからな。
皆も余も少し頭がおかしくなっていたからな、でなければ修学旅行でボウリングで盛り上がるわけがない。
そして、今は寝る前の準備に入っている。
「あー疲れたぁ」
佐々木が大の字になって身体を伸ばす。
「おい!王のテリトリーに入っているぞ!」
佐々木の脚が少しだけ余の布団に入っている。
「ああ?ちょっとだけだろ?」
「ちょっとだけでも入っているだろ!」
「細かいなぁ、そんなことくらいで突っかかってくるなよ」
「全く細かくない!王のテリトリーだぞ!」
「ああ?」
「何ですか?」
ああ、また喧嘩しそうだな。
「お、何だ?喧嘩か?」
「おーい、喧嘩するらしいぞぉー」
「なんか枕で喧嘩するらしいぞ」
「みんなで枕投げ喧嘩大会があっちで始まるぞ」
「誰が1番強いのかみんなで枕投げ大会が始まるからみんな集まれー」
なぜそうなる。
なぜ普通の喧嘩から枕投げ大会になるのだ。
こいつらの体力はどうなっているのだ?
こいつら散々ボウリングをしていたよな?余は体力が人間よりあるから分かるが、こいつらはなぜ元気なのだ?
まぁ余も参加するのだがな。
***
少しだけ枕投げをして満足したから抜け出してきた。
まだあいつらは枕投げを楽しんでいる。
修学旅行の夜と言えば枕投げとはこういう事だったのだな。
たまにはこういうバカ騒ぎも悪くはないな。
それにしても旅館の外の景色はすごいな、これぞ自然の景色な感じがする。
あ、蛍もいる。
外の光が少ないから蛍の光がよく見える。
「宇野?」
急に名前を呼ばれたからバッと振り返る。
「大丈夫、私だから」
高宮千沙だった。
「何だお前かよ」
「私で悪かった?」
「いいや、むしろお前で助かった」
もし、桜井莉緒か九重菫かクソ陰キャ…は別に良いか、この2人のどちらかだったら逃げ出していたかもしれない。
「何それムカつく」
「褒めているんだよ」
「どこが」
どうやら高宮千沙には気に食わなかったようだ。
「ここ綺麗だろ」
「わ…、綺麗」
高宮千沙も自然の中にある蛍の光に感動している。
「お前といると落ち着くな」
「それって褒めてる?」
「褒めてる褒めてる。今あいつらといると落ち着かないからな」
「それってあの告白のやつ?」
「まぁそうだな、…それしかないな」
「ドキドキしてるんだ?」
「ドキドキではない!ちょっと鼓動が早くなるというか何というか」
「へぇー」
「だから違うからな!」
ここでお互い沈黙の時間が続く。
そうだよな、この景色を観ておかないと損だよな。
まぁ余と話しておいた方が得かもしれないけどな。
そうだ、魔法少女どもの班がどうなっているのか聞いてみるか。
「なぁ」
そう余が声をかけた瞬間余の頬に柔らかい何かが当たった。
余は思わず当たった頬を抑える。
「え」
当たった方向に顔を向けるとなぜか近くに顔の赤い高宮千沙がいた。
「私でもドキドキしてろ。バーカ」
そう言って高宮千沙は走って帰って行った。
?
…………!?
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