2年生編 第53話

 クラス劇も終わり、やっとあいつらから解放されると思い、帰り道を歩いているのだが




「うへへへ」


「宇野くんが迷惑してるでしょ」


「宇野もデレデレしないでよ」


「離れてよ!そこは私のポジションなのに!」


「いやーバチバチねぇ」


 もう本当に嫌だ、こんな学校生活を望んでいたわけではないのだ。


 なぜこいつらは余に引っ付いて離れないのだ。


「うへへへ、もう離れませんよ」


「そもそも何で宇野くんはあのあんな事を言ったの!柊野さんも勘違いするに決まってるじゃん!」


「宇野って本当そういうとこあるよね」


「宇野さん…私がいると言うのに」


「女たらしめ」


「もうお前らどっか行け」


 なぜこの余の周りはこんな変な奴らばかりなのだ。


「何で最後宇野くんは余って言っちゃったの!別に言わなくても良かったじゃん!」


「こいつがウジウジしていたから思わず言ってしまったのだ」


 余は右腕に引っ付いている柊野葵を顎で指す。


 こっちは早く劇を終わらせたかったのだ。


 シャンデリアが落ちてきた時点でこの劇を終わらせようとした余を誉めてほしい。


「宇野も嫌なら離ればいいじゃない」


「こいつが中々振り払えないのだ」


「えへへへ」


 余はブンブンと腕を振ってみるが離れる気がない。


「な、言っただろ」


 余は悪くない、全てクソ陰キャが悪いのだ。


「宇野さんは私じゃダメなんですか?」


 九重菫は泣きそうな顔で余に尋ねてくる。


「お前はさっきから何を言っているのだ」


 全員ダメだからな、余は許可を出した覚えがない。


「お前もいい加減に離れろ」


 もうそろそろいい加減に鬱陶しい。


 余は右腕に引っ付いているクソ陰キャを引き離そうと顔面を鷲掴みにしてグイグイと押してみる。


「えへへへ、もう離れませんよ」


「離れませんよ、じゃなくてだな…余の家に来る気か?」


「あ、行っていいんですね」


「良いわけないだろ」


「もう我慢ならない。みんな!引き離すよ!」


「うん!」


「はい!」


 なぜまた同じような展開になってしまうのだ。


「はぁ〜、私もナイトメア様に会いたいわ〜」


 金髪は目をキラキラしながら空を見上げている。


 こいつもこいつでなぜ余らと一緒に帰っているのだ、お前は1人で帰れよ。


 あとこいつだけには絶対に余がナイトメアだとバレてはいけないな。


「離れなさい!宇野くんは私が育てたの!」


 お前ではないからな。


「宇野も実は喜んでるんじゃないの」


 喜んでいない。


「宇野さんはの隣は私だけなんです」


 お前ではない。


「うへへへ」


 頼むから離れてくれ。


「ナイトメア様ぁ〜」


 顔がムカつく。


 これが毎日続くのか?


 地獄ではないか。






「あれ、宇野?」


 その声を聞いた瞬間、冷や汗が出てくる。


 よく聞いたことのある声だった。


 振り返ってみると



 


 小中学と余をいじめていた奴らがいた。

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