2年生編 第1話
はいはい、いつも通り負けましたよ。
せっかく余が新しいことをするのも良いが、続けることも大切だ、みたいなことを思っていたら早速あいつら新しい試みをしてきやがった。
まさか人数を増やしてくるとはな、あまりネガティブなことは言いたくはないが、3人で勝てないのに5人はもっと勝てないからな。
しかもこれって余の対策で5人してるわけではなくて、あのデカブツを倒しすために5人に増やしているのだ。
あいつらデカブツを倒すのに結構手こずっていたからな。
だが、余はデカブツなんかすぐに倒すことが出来るのだ。
だから、余は魔法少女とは圧倒的に相性が悪い。
デカブツのどこに手こずる要素があるのだ?あんなのいないのと同じだろ。
あ!あいつなら何か知っているかもしれない。
「おい!魔法少女が5人になっていたのだが、何か知っているか?」
「え!5人になったんだポヨ〜!」
妖精は驚いた声をあげる。
「知らなかったのかよ…」
「でも、なんかそんなこと言っていた気がするポヨ〜」
こいつにも内緒にしていたのかよ。
「ただでさえ3人に勝てないのに5人になったら余計に勝てなくなるポヨね〜」
「お前今日飯抜きな」
「ああ〜、嘘ポヨ〜。冗談に決まってるポヨ〜」
「…次はねぇからな」
「ありがとうポヨ〜」
はぁ〜…、頑張るか…。
***
2年生になって初めての学校だ。
学校の校門を超えると、玄関には人溜まりが出来ていた。
そう、今日はクラスが発表される日だ。
一生のお願いだから魔法少女とは別のクラスになってほしい。
「おはよう!宇野くん!」
後ろから声がかかり、後ろを振り向くと桜井莉緒、高宮千沙、九重菫がいた。
「おはよ」
「おはようございます、宇野さん」
朝から最悪だよ…。
「ああ」
「クラス発表楽しみだね」
「別に」
「一緒のクラスになれたら良いね」
「まぁ」
ここで本音を言ったらこいつらは面倒くさいことになるのを知っているから適当に合わせる。
「一緒のクラスになれますよ」
「そろそろ見に行こ」
なぜ余がこいつらと一緒に見なくてはならないのだ。
ああ、怖い、一緒になったら二年生はもう捨てるしかなくなってしまう。
段々とクラスの名前が張り出されている紙に近づいている。
頼む…。
「……ない…、ない…、…あった!」
「あ、一緒だ!」
「私も一緒です!」
余は、余はどこにあるのだ…。
…あ、あった!
「宇野くんは…私たちとは違うね…」
よっしゃぁぁぁぁぁぁ、こいつらと離れることが出来たぞぉぉぉ。
「宇野くん大丈夫?寂しくない?」
「大丈夫だ」
むしろ嬉しいからな。
「あれだからね、たまにはこっちのクラスにも来て良いから」
「ああ」
いや、行かないからな。
「休み時間になったら毎回宇野さんのクラスに行っていいですか?」
「それは、ちょっと」
それは本当に困る。
「じゃあ余はもう教室に行くからな」
こいつらとさっさと離れたくて新しい教室の場所へと向かう。
「途中まで一緒に行こ」
まぁすぐ離れれるからいっか。
「ああ」
新しい教室に向かっているが、空気は重たい。
「この4人で2年生になれると思ってたのに」
「そんなうまいことなかったね」
「まぁ皆さん、学生の本分は学業ですから」
「そういう菫だってすごい落ち込んでるじゃん」
「やっぱり分かります?」
「分かりやす過ぎ」
「ほら、もう着いたぞ」
重たい空気のまま教室の前に着いた。
「はぁ〜、お前らなぁ別に一生会えないわけではないのだから、そんなに落ち込むなよ」
あまりにも重たい空気だったため3人に言葉をかける。
「だって〜」
「……」
「私寂しいです」
「いつでも会えるだろ!」
「そうじゃなくて…」
ウジウジウジウジしやがって、こんな奴らに余は普段負けているのか?
「一体何が不満なのだ!」
「会える時間が減る」
「減っても良いだろ!」
「嫌!」
なんだこいつら、面倒くさい。
だからと言ってもうクラスが決まった以上何もすることが出来ない。
こんなのに解決案なんてものがあるわけがない。
「ん〜、連絡先でも交換するか?…しないか」
パッと思いついたことを口に出したが、こんなのでは何も解決にはならないだろう。
「する!絶対にする!」
びっくりした、急にテンション上がったな。
「私も」
「私もお願いします!」
「じゃあ、ほら、勝手にしろ」
余は携帯を放り投げる。
連絡先の交換方法なんか知るわけがないからあいつらに任せる。
「じゃあ、毎日連絡するからちゃんと返してね」
「たまに連絡するから」
「これでずっと繋がっていられますね」
あれ?もしかしてやらかした?
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