第100話
やっと終わった…。
たった1日だけだったのになぜこんなにも疲れなくてはならないのだ。
たった1日だぞ!それなのに一ヶ月分くらいの疲れが1日に凝縮されていた。
別に体力的に疲れたわけではない、精神的に疲れたのだ。
桜井莉緒には頭を撫で続けられるという屈辱を受け、高宮千沙は普段あいつが皆につっこんでくれるのだが、今日のあいつはずっと静かだった。
だから、代わりに余がつっこんでいたのだぞ!全生徒につっこんだかもしれない。
今は家で一人だからゆっくりしているのだが、明日になると九重菫が待っている。
最近のあいつは要注意人物だからな、油断したらずっとあいつのペースになってしまうからな。
もう考えるのやめよう、今は家でゆっくりすることだけ考えよう。
さぁ今からゆっくりしよう。
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チュンチュンチュン
はぁ〜
一瞬過ぎるだろ!
ちょっと休憩して、目を瞑ったら朝になっていたぞ。
やはりくるなくるなくるなくるな、と思っていたらいつもより時間が早く感じてしまう。
昨日みたいなことになってしまうと思うと、憂鬱で仕方ない。
まぁ来たのなら早く終わらせることだけを考えて頑張っていこう。
***
「宇野さ〜ん」
「おい、抱きつくな!」
九重菫は余を見つけるなり抱きついてきた。
これだから嫌だったのだ、こいつは余を兄だと勘違いしている。
「私、楽しみ過ぎて眠れませんでしたよ」
「分かったから離れろ」
こいつは本当にどうかしている、楽しみ過ぎて眠れなかった?こいつはまともではない。
あと、こいつベッタリくっついて全く離れない。
「宇野さんはどこが行きたいとかありますか?」
「いや、特にはない。あと離れろ」
「私行きたいところあるのでそこに行っていいですか?」
「分かった、行ってやるから一旦離れろ」
こいつ、会ってから一度も余から離れていない。
「別に良いじゃないですか、嫌なんですか?」
「嫌に決まっているだろ!」
「え?」
ガーンッという効果音が聞こえてくるくらい落ち込んでいる。
「嫌だったんですか…、そうですか…」
九重菫は分かりやすく肩を落とし、最初の元気なんか微塵も残っていない。
それなのに余からは中々離れない。
「楽しみしていたのは私だけだったんですか…、そうですか…」
面倒くさい奴だなぁ。
それに余はただ引っ付かれるのが嫌だと言ったのだが、変に勘違いしている。
相当落ち込んでいる様子だが、まだ余から離れない。
「はぁ〜行くならさっさと行くぞ」
「引っ付きながら行って良いですか?」
「ダメだ」
昨日の高宮千沙の感じを見ていると、一緒に回っているるのだけであれだけ騒がれたのだ、それが引っ付きながら回ったらどれだけ騒がられるのか想像するだけで面倒くさい。
「ん〜」
「泣きそうな顔をしてもダメだからな」
「ん〜」
「ダメだ」
「だったらせめて手を握っても良いですか?」
くっ…、なぜか別に良いか、と思ってしまった。
こいつは交渉上手だな。
「はぁ〜もう勝手にしてくれ」
「やったー!」
九重菫は余から離れた、代わりに余の手を握ってきた。
「へへへ、恋人繋ぎ」
九重菫は繋いだ手を余に見せる。
なぜそんな変な握り方をするのだ。
「♪〜♪〜」
手をブンブン振りながら歩く。
何がそんなに嬉しいのだ…。
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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