第98話
やっと午前が終わった。
あいつ結局、午前中ずっと頭を撫で続けやがった。
だからあいつはどこからその母性が出てくるのだ、もうペット飼えよ。
そしたら余に構わなくなると思うのだがな。
午後からは高宮千沙と共に文化祭を回ることになっている。
「おい、どこに行くのだ?」
「もう昼は食べたの?」
「余はもう食べたぞ」
桜井莉緒が余に焼きそばを買ってきたからな、頭を撫でられ終わってから食べたから冷めてたなぁ。
やっぱり焼きそばはあの雑さが良いんだよなぁ、誰でも作れるし。
「じゃあ適当に回ろう」
「決めてこなかったのかよ!そんなことくらい決めてこいよ!」
あのデートの時は余が誘ったからちょっとは余が悪かったのかもしれないが、今回は高宮千沙が悪い。
「うん、ごめん」
「?」
あれ?いつもなら言い返しくるはずなのだが、今日の高宮千沙は何か元気が無い。
桜井莉緒と一緒で元気がないとは面倒くさい奴らだな。
「どうした?元気でも無いのか?」
「別に、普通」
普通か?そういえば最近はこんな調子だったなぁ、それに距離感が近くなった気がするし。
こいつの魔法少女になった時の魔法は特に乱れていた印象は無いからな。
ということはこいつは元気がないはずはないのだがなぁ。
だが、あの体育祭から変わったのは間違いない。
まぁ、こいつが問題ないと言うのなら深掘りはしない。
「行きたいところはあるのか?」
「適当に回って、ぶらぶらしよ」
本当に行きたいところがないのだな、余はどこも行きたいところはないがな。
「まぁそれで良いか」
「うん」
ということで、余と高宮千沙はまず校舎の中を回ることにした。
展示のクラスもあればカフェ?みたいなものをやっているクラスもあれば、なんとジェットコースターを作っているクラスもある。
ちょっとだけ乗ってみたいな。
いや、乗りたい。
「あれ?宇野の兄貴、女と一緒にいるじゃないですか、さすがっすね」
出た、他のクラスのわけの分からないウザい奴だ。
余はあまり知らないが、あっちは知っているようだ。
「うるさい、どっか行ってろ!」
「お、宇野!高宮と一緒に回ってるのか?モテモテだねぇ」
「黙ってろ!」
「へい!そこのカップル!うちのところに寄っていかない?」
「今はやめておく」
「みんな〜うののんが女の子連れてるよ〜!」
「別に広めなくて良いぞ」
「のの〜明日は俺たちと回ろうぜ〜」
「悪い、先約があるのだ」
「のん、うちのカフェに寄っていくか?」
「そうだな、寄っていくか?」
「うん」
ということでよく分からない奴に誘われた、他のクラスのカフェに寄ることになった。
というか、余のあだ名はどうにかならないのか?
うののんとはまだ分かるが、のんとののはうののんのあだ名になっているではないか。
これで意外なのが余のあだ名はこんなたくさんあるのに誰も王とは言ってくれないのだ。
あれだけ余が王王王ばかり言っていたのに、誰も王とは呼んでくれない。
最悪キングでも文句は言わないのだがな。
それにしても高宮千沙と歩いているだけでこんなにも注目されるのだな、高宮千沙は人気者だな。
とりあえず教室に入る。
お〜適当に机を並べてインスタントコーヒーを出すだけだと思っていたら、ちゃんと服や飾り付けの見た目もこだわっている。
「お、宇野さん。良いところに来ましたねぇ、良い娘いますよ。あ、すいません、彼女がいましたか」
「良いから席に案内しろ」
本当に余の周りの奴らは面倒くさい奴らだなぁ。
案内された席に座り、メニュー表を見る。
なんでも良かったから適当にコーヒーを選ぶ。
「おい、みんな。宇野が女連れてるぞ!」
「本当だ、いつから彼女作ったんだよ」
「お前は俺たちの味方だと思ってたのに!」
「チューはしたのか?」
「黙ってろ!お前らは少しは大人しく出来ないのか!」
全くこいつらはうるさい奴らだなぁ。
それに余にリスペクトがない、もう少し尊敬しろよな。
こんな時はいつも高宮千沙が言い返すはずなのだが、今日は大人しい。
ただただ顔を赤くして俯いている。
そんなに怒っているのなら、言い返せば良いのに。
はぁ〜まだ1日目の午後は始まったばっかなのかぁ。
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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