第89話
何だよ結局走りたいんじゃないか、初めから素直になれよ。
そんなことより早く佐々木を取り出さないといけない。
佐々木はまだ取り込まれている状態だから怪人化する前になんとかしないといけない。
でも、そんなことが出来るのか?
いや、やってやるよ。
今思えば余も取り込まれそうになって、今に至るからな、出来ないことはないと思っている。
だから、余が取り出す前に取り込まれるなよ、佐々木。
余なら出来るぞ、出来なかったらデスゴーンの思う壺になってしまう。
「あああああああああああ!!!」
こいつより多くのマナで対抗する。
余は気合いを叫びながら佐々木が怪人化になるのを阻止する。
正直こんなことで飲み込まれるのを阻止できるのなんて余には分からないがとりあえず出来ることをやっている。
これで止まらなかったら本当に余は今何をやっているのだろうな。
だけど考えている暇などない、余は今全力出す以外に方法はない。
「ああああああああああああああ!!!」
余の一番のマナを出し切り、佐々木に対抗をする。
スゥ
はぁ、少し不安だったがなんとか怪人化になる前に阻止することが出来た。
「ふぅ」
余は力が抜け、床に座り込む。
まさかなんとかなるとはな、最悪魔法少女どもに任せるところだったが、それは嫌だったから助かった。
「よいしょ」
余はやることがあるから立ち上がる。
「おい、おい、起きろ」
余は寝転んでいる佐々木を蹴って起こす。
「え?なになに?え?痛い痛い」
あ、起きた。
「もうそろそろリレーの順番だから準備しておけ」
「だから俺は」
「黙れ」
余はうるさい口をつまんで喋れないようにする。
「今から余はお前が入っていた不良の集団を潰しに行く。だからお前は黙ってリレーに走れ」
「え?待て待て、お前」
「黙れと言っているだろう」
もうこいつの言うことなんかは聞かない、もう余は止められても行く。
「大丈夫?宇野くん」
どうやら女神の奴が教えたのだろう、魔法少女どもが駆けつけて来た。
「さっきすごい音したんですけど」
「丁度いい、お前らこいつを任せた。無理やりにでもリレーに走らせろ」
「オッケー」
「任せて」
「頑張ってください」
お、びっくりした、こいつらやけに素直だな。
佐々木はこいつらに任せて余は不良の集団を潰しに行く。
***
さっき佐々木の過去を見て、不良が集まる場所は知っている。
「おい」
見たところざっと200人くらいはいるだろう。
「ハンデだ、全員でかかってこい」
***
「おい、ちゃんと走ったのか?」
「え、宇野?」
「何だよ、いたら悪いか?」
「いや、そうじゃなくて、大丈夫だったのか?怪我はなさそうだけど」
「ほら」
余は自分のスマホを佐々木に見せる。
『ずびばぜん、もうにどどささぎにかかわりません』
「おいおい、リーダーじゃねぇか、顔が変わってるけどリーダーじゃん」
うるさいな、あと余のスマホを奪うな。
「宇野がやったのか?」
「ああ」
「え、え?え!え♪じゃあ俺ってもう部活出来るのか?!」
「ああ」
「……ありがとう、俺もう二度と走れないと思ってた」
佐々木の涙が頬を伝う。
よっぽど嬉しかったのだろうな。
「ありがとう。宇野には感謝しきれないよ」
「良かったな」
余は佐々木の肩に手を置く。
「これからは余の下僕として頑張れよ」
「?」
佐々木の涙が止まった。
「部活との両立は難しいだろうが頑張れよ」
「ちょっと待て、下僕ってなんだよ」
「下僕は下僕だ。今からお前は余の下僕だ」
「な、なんで?」
「助けてやったろ」
「それは俺がまた走れるようにしてくれたんじゃ」
「な訳がないだろ、丁度余に下僕が欲しかったところだったのだ」
ああ、これで今後の学校生活が楽になるぞ。
「これからもよろしくな」
「嘘だろ…」
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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