第85話、

 体育祭当日であるから外は忙しい。


「ん〜ん〜」


「黙れ。大人しくしておけ」


「ん〜ん〜」


「リレーは最後だからな、あと5時間くらい大人しくしておくんだぞ」


「んんんん〜!?」


 多分5時間も〜みたいなことを言っているのだろうが余には関係ない。


 もしかしたら感謝しているかもしれないしな。


「じゃあリレーになったら呼ぶわ」


 そう言って余は目隠し、猿轡、両手足拘束されている佐々木をロッカーの中に閉じ込める。


「ん〜ん〜ん〜ん〜!」


 バタンッ


 余は容赦なくロッカーの扉を閉める。


 余が優しくしてあげる必要もない、今回は無理やりにでもリレーに走ってもらう。


 覚悟して待っておけ。


 ***


 馬鹿野郎、開会式が長過ぎるんだよ。


 何が水分補給をしっかりして熱中症対策をしましょうだよ。


 こんな影のないところで長い間立たされて、訳の分からないことを聞かされることの何が熱中症対策だよ。


 まぁ良い、せっかくの祭りなのだから楽しまないとな。


 余たちが出る二人三脚は2種目にあるからまだ時間には余裕がある。


「おい、練習するぞ」


「うん」


 だから余たちはギリギリまで練習をする。

 

「「いちに、いちに、いちに、いちに、」」


 最初の頃とは比べ物にならないくらい余たちは上達していた。


 デートが無意味とは言わないが余がある程度高宮千沙の意見を聞いたら見違える程に上達した。


 余が大人になっただけでこんなにも上手くいくとはな、やっぱり余は天才なのだ。


 だが、そうすると余が子供だったから今まで上手くいっていなかったみたいではないか、それは嫌だから余は元々大人だったが、大人から大王になったのだ。


「これだったら絶対に余たちは勝てるぞ!」


「そうだね…」


 高宮千沙は覇気のない返事をする。


 ん?余はもっとこう、「うん、私たちなら絶対に一位取れるよ」くらい言ってくれるものだとおもっていたのだがな。


「どうした?気分でも悪いのか」


「ううん、ただ不安だっただけだから」


「不安?」


「うん」


 絶対にバレーの試合の方が緊張すると思うのだがなぁ。


 こいつ確か県の代表に選ばれるくらい上手いのだろう?


 何をこんな二人三脚ごときに不安を持っているのだ。


「気にするな、不安に思っているということはお前がちゃんと練習してきたからだ」


「え」


「全然練習をしていなかったらきっとこの不安は生まれなかったはずだ、不安があるということはそれだけ頑張ってきたのだ。その不安は頑張ってきた証拠だ」


「宇野…」


「余たちなら出来る。一位を取りに行こう」


「うん!」


 やっと良い顔をに戻りやがった、これで一位を取る準備は整った。


 あとは時が来るのを待つだけだ。


 ***


「二人三脚に出る方は招集場所に集まってください」


 余たちは招集され、他の二人三脚の奴らが集まってくる。


 だが、少しおかしい。


 どこを探してもあのカップルがいない。


「おい、カップルで出る奴らを知らないか?」


 余は近くにいた同じクラスメイトの奴に聞いた。


「あれ?知らないのか?あいつら別れて、気まずくなって、あいつら二人三脚出るの辞めたらしいぞ」


 

 ???











 ゔぇ?!?




 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。

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