第76話
結局担任の教師のゴリ押しで佐々木っていう奴を体育祭に出させることになった。
佐々木って誰だ?
余はクラスメイトに興味がなかったから佐々木が誰かなんて知っているわけがない。
本当に誰だよ佐々木って、初めて聞いた名前だぞ。
そもそも出させる様にって、そいつはやばい奴なのか?
話を聞いている感じだと怪我では無さそうだな。
となると、体育祭がとてつもなく嫌いな奴か引きこもりくらいだな、余が思いつくのは。
体育祭がとてつもなく嫌いって何だ?何かトラウマでもあるのか?めちゃくちゃ運動音痴なのか?
引きこもりだったら嫌だなぁ、絶対にめんどくさいことになってしまうから。
あぁ〜佐々木のこともっとちゃんと聞いておくべきだった。
今から担任の教師に聞きに行こうかな?
いや、あいつは忙しいって言っていたからやめておこう。
一応余があいつを辞めさせなかったからな、あいつに頼るのはやめておこう。
となると、余は一体誰に聞けば良いのだ。
教室にいる奴に適当に聞くか。
運が良かったら佐々木もいるかもしれないしな。
じゃあ早速教室へ向かうぞ。
***
教室に着くとチョロチョロと生徒が残っていた。
誰でも良かったがとりあえず近い奴らに聞いていくか。
「おい」
「お、宇野じゃん。どうしたんだ?」
「佐々木ってのはどいつだ?」
「え、佐々木?」
佐々木のことを聞いた途端顔が曇ってしまった。
聞いたらダメなやつだったか?
「ん?聞いたらまずかったか?」
「そういうわけじゃないけどなぁ」
「なぁ」
「どうしたんだ?」
「佐々木って不良と連んでるんだよ」
「不良?」
「他校の不良と連んでるんだよ。しかもかなりデカい軍団らしいよ」
「みんなそいつらに怯えてるんだよ」
「何回も警察のお世話になったって聞いてるよ」
「で、そこの軍団に佐々木がいるんだな」
「ああ」
また面倒な。
「その佐々木に用事があるのか?」
「ああ、佐々木を体育祭に出させる」
「え?何で?」
まぁ普通はそうだよな。
「担任の教師に言われたのだ」
「先生に任せたら?」
「あいつは忙しいからな、余が手伝ってやってるのだ」
「なんだかんだで宇野って優しいよな」
「本当そうだよな。最初はやばい奴だと思ってたけど本当は心優しいやばい奴だったな」
なんだそれ。
「本当にそれ」
共感するんかい。
「困ったことがあったら俺らにも言えよ」
「まぁ宇野だったら大丈夫かも知れないけど」
「気が向いたらな」
まぁ余が他人を頼るわけがないがな。
「それで二人三脚の調子はどう?」
「あ、そうだ、宇野二人三脚に出るんだったなぁ」
「どうもクソもあるか、あいつとは合わん」
「はは、高宮か」
「ちょっと練習見たけどずっと喧嘩してたな」
練習の時間より言い合っている方が長い気がする。
「まぁ頑張れよ。でもどれだけ頑張っても一位にはなれないけどな」
む、一位になれないだと?
「どういうことだ」
「ほら、前にいる二人いるだろ。あいつら付き合ってるんだけど、めちゃくちゃ息が合うんだよ。その二人も二人三脚に出るんだよ」
「二人の練習見てたけど勝てる奴いないだろってくらい速かった」
そんな奴らがいたのか。
あと、お前練習見過ぎな。
「そうか、あいつらには勝てないのか」
なんだ悔しいな。
余が負けるのか?こんな普通の人間に。
いや、余が余である限り負けることなんか許されるはずがない。
余はあのカップルの元へ近づく。
「おい」
「うわ、宇野か」
「宇野くんじゃん。どうしたの?」
「宣戦布告だ。二人三脚で勝つのは余だ」
「そう言えば宇野も二人三脚だったな。残念だけど、僕たちには勝てないよ。だって僕たちは息ピッタリだもんねー」
「ねー」
こいつらを見ていると本当に仲が良いことが分かる。
「それに僕たち週末デートするからまた仲が深まっちゃうよ」
「楽しみだね」
やばい、またこいつらは余らを引き離すつもりなのか。
嘘だろ、ただでさえ余らはまだまともな練習が出来ていないというのに。
これ以上引き離されたらもう勝てなくなってしまうぞ。
「あ!いた。も〜固結びしたでしょ。取るのに時間かかったんだから」
グラウンドに放っておいた高宮千沙が教室に帰ってきた。
余は高宮千沙のところへ行って、両肩を掴んで高宮千沙を見つめる。
「おい、デート行くぞ」
「へ!?」
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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