第68話
桜井莉緒が帰ってきたのだが、相変わらず余のことを子供扱いしてくる。
余は何より下に見られるのが大嫌いだから今すぐにでもやめさせたい。
あいつは余を馬鹿にしているのではないかと思うくらい赤ちゃん言葉を使う時がある。
その時が一番腹が立つ。
余はもう立派な大人だというのに。
まぁこの件についてはまた今度にしておいて、あいつが帰ってきたから父親と二人きりになることは避けることが出来た。
クラスメイトの父親と一緒にいられるか。
桜井莉緒が帰ってきたから二人きりはなくなったのだが
「おい、まだか」
「もう少し待ってね」
あいつは料理を作って、待っている間は桜井莉緒の父親と二人で向き合って座っている。
せっかく桜井莉緒が帰ってきて二人きりだけは避けれたのに、なぜこうなってしまったのだ。
というか帰らせてくれ、ここの家に来ると中々帰れない何かがあるのか?
「莉緒のことはどう思っているの?」
桜井莉緒の父親の方から話しかけられた。
「は?どう思う?」
こいつは余に何を聞き出そうとしているのだ?
どう思うって桜井莉緒は余のことを子供扱いしてくるし、魔法少女だから敵だし、こいつのせいで色々巻き込まれて他の魔法少女と繋がってしまったし、こいつは余の天敵だ。
だがそのことをこいつには言う必要はないしな、なんて答えるのが正解なのだ。
「なんとも思っていない」
「そっか…」
無難な回答はしたはずだ。
「莉緒は宇野くんのこと好きだと思うよ」
「は?」
好き?好き嫌いの好きのことか?
桜井莉緒が余のことが好き?ないないないないない、桜井莉緒は余のことは子供としか思っていない。
というか、キッッッッッツ。
余は今から桜井莉緒の父親と恋話をするのか?いや、キツすぎるだろ。
「どう?莉緒は良いお嫁さんになると思うよ」
「余はそういうのに興味が無いのだ」
「そっか残念」
「自分の娘を簡単にあげようとするなよ」
「簡単じゃないよ、宇野くんだからだよ」
なぜ余だから良いのだ、余はダメだろ。
「逆に宇野くん以外だったら莉緒は任せられないよ」
なぜこいつは余にそんな絶対的信頼を置いているのだ。
まだ数回しか会っていないだろ?
「ご飯出来たよー」
料理が出来たようだ、良い匂いがする。
ナイスタイミングだ、こいつと話していると調子が狂う。
「さっきまで何話してたの?」
「内緒」
「絶対に言うか」
「え〜言ってよぉ」
こんなこと言えるか。
***
にしてもこいつの料理は美味いな。
最初ここに来た時も食べたが本当に美味いな。
「宇野くんは夏休み何やってたの?」
「いろんなところでボランティア」
「偉っ」
「ふんっ、当然だ、余は偉いのだ」
悪くない気分だ。
「これからは?」
「特に無いな」
またボランティアが出来るところを探しておかないといけないな。
「じゃあ二人で花火大会に行ったら?」
じゃあって何だよ、桜井莉緒の父親。
「良いね、行こうよ宇野くん」
「行かん」
「良いじゃん、行こうよ」
「絶対に行かん」
なぜ敵と二人で花火を観なくてはいけないのだ。
「夏休みはボランティアやってるんでしょ?私このままだと一人で行くことになるなぁ、困ったなぁ」
くっ、痛いところを。
「他の奴と行けよ」
「私は宇野くんと行きたいの」
なぜそんなに余と行きたいのだ。
「ね?お願い」
「はぁ〜分かった行ってやるよ」
「やったー」
これもボランティアの内に入るよな?
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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