第37話
私は小さい頃からあまり自分の意見を持っていても勇気を出せずにいるか、嘘をつくかのどっちかだった。
だから幼稚園の時も小学校低学年の時も友達はいなかった。
友達がいないのは別に良かったけど、誰かに話しかけられた時に何も言えずに黙ってしまうことがあった。
だけどある時、小学校で飼っていたニワトリをクラスメイトの男子たちがいじめているのを見てしまった。
ここで止められるのは私しかいないのに中々勇気が出ずにその場で固まっていた。
私もお世話をしたことがあって、やめてほしい気持ちは持っていたのに怖い気持ちの方が勝っていた。
「なにやってんの?そんなことやめなよ」
ニワトリをいじめている男子たちに声をかけたのが千沙ちゃんだった。
ここで私は初めて千沙ちゃんのことを知った。
全然男子たちに臆せずに注意する千沙ちゃんは私にとって本当にかっこよく見えた。
私は怖くて固まっていたのに千沙ちゃんはさも当たり前かのように注意したのが私には持っていない何かを持っているようでそこから千沙ちゃんと仲良くなりたいと思った。
どうやら千沙ちゃんはバレーをやっているらしいから私もバレーを始めた。
そこから千沙ちゃんと仲良くなったのは遅くはなかった。
勝利を目標に持ってスポーツをすると不思議と仲間意識が生まれてすぐに仲良くなれた。
千沙ちゃんは思ったことを口にすることが多いし、嘘をつくことが苦手だった。
そして中学生になると部活が始まり、部活内での上下関係もあった。
しかし、千沙ちゃんは先輩にダメ出しするし、嫌なことはしっかり嫌と言っていたこともあって、先輩から好かれていなかった。
だけど私はそんな千沙ちゃんが好きだし、変わってほしくなかったから私はずっと千沙ちゃんの味方でいた。
だから私と千沙ちゃんはずっと一緒にいた。
それなのに高校に入ったら急に私とのいる時間が減った。
桜井莉緒、九重菫のこの二人といる時間が増え出した。
なんでこの二人なんだろうと聞いたけど中々答えてくれなかった。
あの嘘のつけない千沙ちゃんが私に嘘をついて何かを隠していた。
私は悔しかった、ずっと仲の良かった千沙ちゃんが嘘をついてまであの二人と一緒にいたのが。
私じゃダメだったのかな?と考える時間が日に日に増えていった。
そして私は最低な行為を千沙ちゃんにしてしまった。
最初はあとをつけるだけだったのに、紙を下駄箱に入れておいたり、物を隠したり、色々した。
それをすると千沙ちゃんが私のことを考えているようで嬉しかった。
すぐにやめようとしたけど、やめたら私のことを忘れてしまうんじゃないかって思ってしまって中々やめられなかった。
バレないようにしていたけど宇野っていう男のせいでバレてしまった。
こんな姿を千沙ちゃんに見られたくなかったから思わず逃げたけど、デスゴーンのせいで私は怪人化してしまった。
私はただ千沙ちゃんのそばにいたかった、本当にそれだけだった。
なのに、千沙ちゃんにストーカーや嫌がらせみたいなことや千沙ちゃんに嫌われるようなことした。
今も怪人化して千沙ちゃんを苦しめて、本当に私は何がやりたかったんだろう。
もう自分が自分で嫌になる。
本当に悔しい。
***
だからなぜこいつの過去を余が知らなくてはならないのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます