居酒屋『Unk-nown-』

ロマンス加藤

第1話 アルバイトのかなちゃん

アルバイト雑誌へ掲載直後にかかってきた案件は

すでに30件を超え、面接の日取りで頭が一杯である


先のウイルスの影響か

この不景気だそれもわかる


だが鳴りやまないアルバイト応募の電話にあきれ果てていたころ

一本の電話にワイの胸が高鳴った


かなちゃん「アルバイトの応募をさせていただきたいのですが…」

とんでもなく可愛い声である


店主「ご応募ありがとうございます、まずご年齢や職歴をお伺いさせていただきたいのですが」

かなちゃん「はい、年齢は19歳です。都内の女子大へ通ってます」

ほういいぞ~


店主「今年1年生かな?今までバイトの経験とかある?」

かなちゃん「はい、今年進学したばかりです。職歴ですが読者モデルの経験があります」

な、!?読モだと!?


店主「え?読者モデルやってたの!?」

かなちゃん「はい、高校時代に1年間ほど。接客業は初めてなのでチャレンジしたいと思ってます」

じゅるり…


店主「宜しければモデルやってた雑誌とか教えていただけます?(顔が見たい)」

かなちゃん「えーと…○○○です…名前は東野かなです」

恐るべきスピードでネット検索をするワイ


店主「おめでとうございます、採用です」

かなちゃん「え?」


店主「シフトとか決めるから一度お店に来てください」

かなちゃん「は、はいわかりました」

ーーー

日程を決め電話を切る


とてつもなくえげつないゲス顔でワイはガッツポーズを決めた


そんなこんなで即採用となった東野かなさん(19)


期待を裏切らない可愛さで彼女は登場し

ワイの心は学生時代に戻ったかのように輝いていた


店主「んじゃあシフト決めようか(早く働いて)」

かなちゃん「あ、はい。採用有難うございます」


店主「うん、いつから来れる?(ゲス顔)」

かなちゃん「明日からでも大丈夫です!」


店主「ほんと?じゃあ明日から入ってもらおうかな?(ペロペロ)」

かなちゃん「はい、よろしくお願いします!」


店主「制服渡すからサイズとか教えて欲しいンゴ」

かなちゃん「ンゴ!?」

やべ、心の声が出てもーた


店主「あ、あ東野さん細いしSでいけるよね(やべえよやべえよ)」

かなちゃん「は、はい」

ちょっと引いてる…


その後なんとか不穏な流れをごまかした

ともあれ明日が楽しみである。


そして翌日。


かなちゃん「本日からよろしくお願いします!」

元気な声でお店にやってきたかなちゃん

制服に着替えてもらって

今日は簡単な作業でも覚えてもらうか…


更衣室を案内しタイムカードの切り方などを教える

はいはいと礼儀良く聞くかなちゃん

本当に可愛い顔してんな元読モだけあってスタイルいいし


店主「ええコ入ったなぁ(スケベ顔)」

かなちゃんが着替えている間によろしくない妄想を頭の中で繰り広げるワイ


準備を終えたかなちゃんにまず店の案内などをする

熱心にメモを取り真面目なそぶりを見せる

店主(ほんまにええコやなぁ~


一通りの案内を済ませ実務を研修する

小一時間ほど接客の仕方などを教える


店主「東野さんちょっと休憩しよう」

かなちゃん「あ、はい」

分厚い接客マニュアルに疲れたのか

かなちゃんも少し顔にそれが出ていたので

小休憩をはさむことにした


’色々’と聞くために


店主「東野さんあ、かなちゃんって呼んでもいい?」

かなちゃん「あ、はい」


店主「んじゃあかなちゃん、彼氏とかいるの?」

かなちゃん「あはい、います」

……まだワンチャンある


店主「へー、付き合って長いの?」

かなちゃん「はい、同棲してます」

………


店主「君、明日から来なくていいから」

かなちゃん「えー?」


その夜ワイは涙で枕を濡らしたとさ…

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